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2022年4月

「光垂れーる」紀伊國屋ホール(ネタバレあり)その2

その2は、それこそ勝手な思い入れを書き連ねるので本当に悪しからずご容赦下さい😅

(キャストやあらすじは、その1にあり)



まず、その1に書いていない好きだったシーンを思いつくままに羅列。


前説。

基本はサカモンさんと玄太さん(初日だったかな?はチラッと陽永さんも。)

紀伊國屋ホールでもいつもの調子のお二人に嬉しくなった。

サカモンさんの物販宣伝、玄太さんの「ハッピーターン!」も見ることが出来た 笑


さらに楽日はぽこぽこメンバー5人で前説。これも嬉しかった😄

初の紀伊國屋ホール公演をやるに当たって想像していなかった苦労話とか、名前が「ぽこぽこクラブ」ではなかったかも知れない話とか、予想以上にお話が聞けて楽しかった。



クロちゃんに向かって「イケメンで若くて、俺より滑舌がだいぶいいからって・・・」と言いながら自分で落ち込む真ちゃん 笑

怒っているようでどこか優しさも見えるサカモン真ちゃんの、自分の気持ちにも真っ直ぐな様子がとても良かった。

歌うシーンも素敵だった。



蘇りを良しとしない登美子さんが、彼女の認知症の進行を危惧した三宅さんが今のうちにと独断で神様に頼んで蘇った千可子さんに対して、自分の考えを説明した上で「でも、悔しいねぇ、あのジジィ、やっぱり嬉しいもんは嬉しいや」と千可子さんを抱きしめるシーン。

その様子を後悔、安堵、同調?色々綯い交ぜになったような表情で見つめて頭を下げる陽永三宅さん。泣かされた。

やはり役者な陽永さんには引き寄せられる。


認知症症状が時々出てる登美子さんと三宅さん、蘇ってからはそこに千可子さんを加えた3人のやりとり、可笑しいのと切ないのがすごく巧みに組み合わされていて、本当に笑いながら泣かされそうになって困った。

大沼さん、小山さん、お二人ともチャーミングで男前。



消火活動後、諭さんと富士夫さんが飲むシーン。

父に向かって握手の手を差し出す玄太諭さんのぶっきらぼうに照れた表情がとても微笑ましかった。

40歳な玄太諭さんとべーさん富士夫さんのやり取りがお二人ともすごく良い雰囲気で、「父親と親友に。」というような台詞は、陽永さんがご自身で言いたかった言葉かな?なんて勝手に想像してまた泣かされそうになった。


富士夫さん御一家、木村さん弥生さん&辻さん翠さんはどちらもやはり母娘だなと思わせるおおらかさと強かさがあったし、良い御一家だと思う。弥生さんを信用してるから(信用しすぎな気もするぞ😓)、死んだ自分が居なくても大丈夫と考えてしまい、ああいう考え無しに見える行動になるのかな、富士夫さん😅

にしても、弥生さん、どんなお仕事してるんだろ?

40歳の息子はウーバーイーツでバイト、娘(も30歳にはなってるよね)はインフルエンサー目指して修行中って・・・大変ですね、と頭の片隅で思ってしまった・・・



ダンスシーンはどれも見応えがあって素敵だった。

楽日のクライマックスのダンスシーン、いつもはべーさんから始まって順々に全員を観ていたのだが、陽永さんのこのダンスはクラファンリターンのDVDでは見られない!(演出だけで、出演してなかったから)と気づいて(遅い、遅過ぎるぞ、自分😓)、ロックオンして凝視してしまった 笑



さて、次は色々考えてぐるぐるしていること。

勝手に悶々としてるだけなので、お気になさらず。



寝太郎さんの存在。

しょっちゅう眠っていて、起きると、夢で今度もお姉さんを助けられなかったと嘆いている。まるで萩尾望都さんの「酔夢」のような無限ループ。

このお芝居で”夢”は死者と生者の世界を繋ぐモノだ。夢は存在していない側の世界が見える。

寝太郎さんは蘇ったものの半分くらいは死者側に存在が残っているということだろうか?

彼の存在の意味は何なのだろう? 

ずっと考えている。そこを掘り下げても面白い話が出来そうな・・・



クライマックスのダンスシーン、ウエディングドレス姿の3人がいるのに途中メインで踊る女性は別な人達というのがちょっと勿体ないような気がした。いや、皆様、素敵だったので良いのだけれど。

それに「真ちゃんを好きなのはずっと変わらない!」と明言した明美ちゃんとなら、真ちゃん、やはり冥婚式をやって良かったのでは?と思ったりした。

(前バージョンでは明美ちゃんと真ちゃんも冥婚式をしている)



ツクモンは何故、瑞穂さんに「父だ」と名乗れなかったのだろう? 瑞穂さんが成仏すると決意するまでは言えないという制約でもあったということか? いや、でも瑞穂さんが成仏しなかったのは父親を探していたからだと思うので、だったら告げればそれで済むはず。

付喪神となった自分は成仏出来ないから隠していたのかと考えていたが、今回は最後に瑞穂さんと一緒に行くしな。

告げずに瑞穂さんが自ら気づけば魔法が解けて成仏出来る、みたいなものか?

(と、勝手に設定を創っていくのである😅)



最初のシーンの後、客席通路を歩いてきて舞台前まできて語り出すべーさん。

それ自体は素敵。素敵なのだが、あの一連の台詞を語る役者さん(べーさん)が瑞穂さんのお父さん役でもあった前バージョンはとてもしっくりきた。


でも、今回、べーさんは瑞穂さんのお父さんではなくて諭さんのお父さんだ。

最初のナレーションを語り部としてべーさんが語るというシーンが悪いわけではないのだが、なんかモヤモヤした。


そして、この時、べーさんが来る結構前から「光垂れーる」のタイトル幕?が下がっていて、風に煽られるように揺れていた。ちと意図がわからなかった。

それと「一筋の光」の台詞で射す光が一筋ではなかった。とても美しくて良かったのだが、チラッとあれ?とも思った😅



今回版は、喧嘩別れで死別してしまった大きな父親に対する諭さんの、引け目と憧れとが交錯した想いの行方が一つのポイントなのかなと思う。

諭さんと富士夫さんの関係性のところは、弥生さんとのやり取りも含めて良い感じだったし、瑞穂さんとの関わり方も、富士夫さん御一家の側から見ればなるほどと思う。


一方で、神様と瑞穂さん、として見ると、瑞穂さんのために蘇りの村まで作ってしまうツクモンが、どちらかというと村人達の一人くらいな大きさの印象になってしまい、ちと勿体ないような気がしてしまった。

クライマックスの祭りを仕切るのもべーさん富士夫さんだし。


それと、台風のとき16歳なら諭さんとさして歳も違わない。限界集落の村なのに、何故に瑞穂さんを知らないんだ、諭くん、弥生さん😅

(前バージョンでは瑞穂さんは諭さんの初恋?の人だった)


弥生さんと登美子さんだって、そんな村の消防団長みたいな人の妻と地元酒屋さんなら間違いなく知り合いでしょう。クライマックス前にチラッと交流シーンがあるけど、お二人のやり取りももっと見たかったような。ま、これは時間的に仕方ないかと思うけど。



神様と瑞穂さん、諭さん&理沙さんに富士夫さん御一家、真ちゃん&明美ちゃんとクロちゃんや大田原軍団、登美子さん千可子さん母娘&三宅さん、山田先生とその生徒達、オムニバス形式で話があって、最後に繫がる、というようなぽこフェス舞台をやって欲しい。

(観るだけの奴は勝手なことを思う 笑)




なんて書き連ねた諸々は、前バージョンを観ているから感じることだと思う。


今回だけを考えれば、それぞれの繋がりも上手く纏まっていて、笑えて泣けて、超常的な事から社会問題的な視点まで盛り沢山なぽこぽこクラブらしいお芝居だったと思う。

紀伊國屋ホールで観ることが出来て良かった。

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「光垂れーる」紀伊國屋ホール(ネタバレあり)その1

ぽこぽこクラブ vol.8
紀伊國屋ホール
3月3日夜、3月6日昼他(笑)観劇


作・演出:三上陽永
キャスト:
村上諭:高橋玄太
滝沢理沙: 長尾純子
村上富士夫:渡辺芳博 
村上弥生:木村望子
村上翠: 辻捺々
神様:外波山文明
渡辺瑞穂:橘律花
山田主:杉浦一輝 
壇登美子:大沼百合子
壇千可子:小山あずさ
三宅耕三:三上陽永
篠原明美:湯浅くらら
大田原真ニ:坂本健 
黒岩猛:斉藤陽葵
 
紫杏:紫音琉花
東田:西田雄紀
北斗:阿部洋斗
原:一原みのり
真千子:金子真千
寝太郎:堀慎太郎
温井:矢用温 


終演後、すでに1ヶ月が経とうとしている時に書いている😅
年度末の3月、仕事に追われて書けなかった。
でも、ぽこぽこクラブ初の紀伊國屋ホール公演、やはり書いておきたいので書く。
感想と言うより、ほぼファンの戯れ言ですので悪しからず 笑


今、思い返しても、初めて紀伊國屋ホールの入口に公演案内の立て札が立っているのを眺めた時、そしてあのロビーに入った時の気分は何と表現したら良いのかわからない。
お祭り状態の紀伊國屋ホールロビー、すごくぽこぽこらしくてそれだけで感激してしまった。
いやぁ、ぽこぽこクラブがねぇ・・・


ま、それ以前に紀伊國屋の階段途中に貼られている公演ポスターにもドキドキしながら登ってきたのだったけれども 笑


自分でオーダーした提灯やら応援旗やらを確認、この際なので全ぽこセットも購入して、準備万端。


さて、問題はこれから。


と言う気分だった。


「光垂れーる」は内子座でも阿佐ヶ谷でも観て、とても好きだった。好きだからこそ、改訂版を観るのは心構えが要る。これまでの経験(ぽこぽこ公演に限らず)から、初回は大抵自分の中の思い入れ(裏設定とも言う😅)との闘いが生じてしまうのが目に見えていたのである。


案の定 笑

初日は、ぽこぽこクラブが紀伊國屋ホールで堂々と公演をしている!(しっかり紀伊國屋ホールサイズのお芝居になっていた)という嬉しさと、とても好きだった前バージョンからの改訂にすぐには感性が対応できなくてもんもんとするというのが闘ってしまい、正直、全面的に楽しめた訳ではなかった。

しっくりハマっていると感じていた幾つかの関係性が組み換えられていて、エピソードの比重の付け方にも変化があり、何故にそうする?と思ってしまったりして、その場ではすぐに飲み込み難くて結構大変だった。


でもまぁ、これは想定内。初日の感想は保留 笑

次の日。

(全通しようと思っていたのだが、別な愛しの君 笑 がご出演の舞台が急遽丸被りしてきたので一回はそちらに行きました。こういう丸被り、本当に止めてほしい😅)

おお! 面白い!
今度は素直に楽しめた。


ダンスシーンは誰もがイキイキと美しく躍動感溢れて本当に素晴らしく、初日から引き込まれた。

セットも使い方を含めてとても素敵で、印象的なシーンがあちこちにあった。


そして2回目になると今回のストーリーに感性が追いついたらしくて、これはこれとして観ることが出来るようになった。

死者と生者が共に生きる機会を得た村で、それぞれの在り方の意味を考え、次に進もうとしていく人々の姿が今回もとても素敵だった。

どのキャラもしっかり頑張っていて魅力的だった。

所々、腑に落ちない点や勿体ないと感じた部分もあったけれど、それを吹き飛ばす勢いがあったと思う。

そして、あちこちで繰り広げられる笑い 笑 

どうしてこうも笑いながら泣かされるんだ?と思いながら観てた😅


諭さんと理沙さん、瑞穂さんと神様の関係性が、富士夫さん一家の在り方、村の人々の様々な在り方の中で形を成していくとも言えるかな。


一輝山田先生の、生きるということ、死ぬということ、蘇りということの意味、死者と生者の在り方を考えて考えて考え抜いて結論を出した感じが独り善がりではなく思えて良かった。
反射的に否定するクロちゃんに対しての冷静だが毅然とした態度も素敵だった。


サカモン真ちゃんの純粋さは今回も魅力的だったが、それ以上に迷いを吹っ切った明美ちゃんがかっこ良かった。今回のクロちゃんは面倒くさい奴だったので、明美ちゃんの強さが際立った感じ。
内子座、阿佐ヶ谷バージョンでは真ちゃんの真っ直ぐな想いが無茶苦茶カッコよくてドキドキしたので、初日は真ちゃん/明美ちゃんのウェイトが相対的に小さくなった気がして、ちと残念に感じてしまったけどね。


そして、蘇りでの再会は違う、と凛として己の生き様を貫く登美子さん。神様と真っ向からやり合う彼女の存在は今回かなり印象的だった。

彼女と千可子さんのやり取りも良かった。笑わされながら😅泣かされた。

登美子さんに亡くなったお母さんを重ねてるのかな? 陽永三宅さんがトミちゃんを見る表情が優しくて、仕事という風には見えなくてつい引き寄せられた。泣きそうな表情見てるとこちらも泣かされそうになる。
千可子さんに「俺たちも結婚する?」と問うのは「責任取ってちゃんと成仏させて。」への答えなのかな。この辺りは富士夫さんと同方向の思考回路?😅


玄太諭さんの思わず苦笑してしまうような愛すべき不器用さ(この諭さんだと、理沙さんいるのに瑞穂さんには行かないわな😅)、歌う諭さんから離れられないしっかり者の理沙さん。
夫にも息子&娘にも甘いようで、その実、しっかり手綱を握っているのかもしれない弥生さん、東京ラブストーリーのダンスがとてもキュートな翠さん。


何より、紀伊國屋ホールバージョン、べーさん富士夫さんがカッコ良かった!

富士夫さん、実はかなりシッチャカメッチャカだったりもする のだが😅、それでも何だか格好良いと思える人だった。奥様弥生さんのおかげ、ばかりでもないと思う 笑

大体、開演ですと言って踊り始めたベーさんがはける前にニッと笑みを見せるのだが、これがぎょっとするほどカッコイイ。見ようによってはシャイニングなんだけど😅

クライマックスでのダンスシーンもホントに格好良くて、今回、かなり見惚れた。ルフィなんだか歌舞伎なんだか?な感じで見得をするようなシーンも素敵だった。

このお父さんが落ち込むのを見て驚く玄太諭さんの表情、とても腑に落ちる感じで良かった。
理沙さんが富士夫さんに向かってお母さんの貢献ぶりを説いているとき、明らかに自分に対しての理沙さんを重ねている諭さんの表情も良かった。
諭さんが歌っている時のご両親の様子に泣かされそうになった。そのまま歌を楽しんでる妹さんと比べて、ご両親はなんと言うか、歌っている諭さんそのものを慈しみ喜んでる感じ。
歌っている玄太諭さんもとても素敵だった。
そして、キュンポイントに気づきつつある理沙さんの真剣な顔! 笑


この御一家のやり取りを見たら、瑞穂さんが成仏しようと思うのもわかる気がするので、そこから先の神様の赤い手紙作戦は正直かなり無理を感じるし、受け入れる富士夫さんも、何言ってるの?と思う。


思うのだが、そこから先はベーさん富士夫さんのカッコ良さと舞台全体の勢いに押し流されて納得させられてしまう気がするから恐ろしい😅


外波山さんの神様は愛らしくて、歳よりも大人びてしっかりした感じの橘瑞穂さんとのやり取りはとても微笑ましかった。
橘さん、お声も良いし、いろいろ不器用な大人達をややクールに眺めている若者な感じも良かった。


今回、客席に小さなお子様連れのご家族が何組もいらした回もあって、そういう方々も対象に考えての舞台なのかと思うとなるほどと納得したところもある。

お化け屋敷のシーン、最初はこれ必要なの?と思ったのだが、長い観劇に慣れていないお子様達には気分を変える楽しいワンシーンだったのかもと思う。それに桜吹雪を片付ける意味でもあのシーンから休憩の流れは上手いと思った。

書きたいことはまだまだあるが、一旦、ここまで 笑


(あらすじ)
  売れないミュージシャンの諭は、二人の関係を再考したい恋人理沙に請われて廃村となっている故郷:御能村に母、妹も一緒に帰省した。

 そこは突然現れた神様の力で死者が蘇り、わずかに残っていた村人や移住してきた数人の若者達が共に楽しく暮らす村になっていた。

 諭はそこで23年前の台風で喧嘩別れしたまま亡くなった父:富士夫と再会する。富士夫は23年前助け損なった当時16歳の瑞穂と夫婦として暮らしていた。
 諭の母:弥生をはじめ皆が唖然とするが、それは父親を探し続けている瑞穂を支えるためと判って和解。
 諭の両親のやり取り、歌う諭の姿に自分の思いを確認した理沙は諭にプロポーズ。
 

 その頃、死者がいつまでも生者を縛るようなことは良くないと説く生前は教師だった山田の下、死んだ娘を蘇らせることを良しとしない登美子、生者である恋人明美の将来を考えて身を引く決心をした真二など、この村を終わりにしようとする動きが始まっていた。

 瑞穂も成仏することを決意したが、そもそも彼女の「この村の人達ともう一度暮らしたい」という願いのために死者を蘇らせた神様は「最後の願いを叶えさせてくれ」と頼み込む。

 瑞穂の「強いて言えば、結婚してみたかった。」の言葉に神様は富士夫と冥婚式をさせようと画策する。

 何だかんだで瑞穂と冥婚式を挙げることにした富士夫は妻:弥生とも再度結婚式を挙げることにし、諭と理沙も一緒に結婚式を挙げることにした。

 村を終わりにすることを神様に頼みにきた村人達も共に式に参加することになり、23年ぶりに御能村に祭りが始まる。
 折しも大型台風が近づく中、死者も生者もそれぞれの想いを込めて踊る、踊る。
 諭は父と夢で目を合わせての再会を誓い合う。


 一人佇む神様を瑞穂が迎えに来る。
 何となくわかってた、お父さん、一緒に行こう。


 もやもやが消えない諭に「もやもやしながら生きてけば。それもそんなに悪くない。」と言い放つ理沙。

 二人は戯れ合いながら笑う。

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