« 2021年3月 | トップページ | 2021年12月 »

2021年10月

暴発寸前のジャスティス(ネタバレあり)

ぽこぽこクラブ


新宿シアタートップスオープンシリーズ


新宿シアタートップス

9月24日15時、9月25日18時半他


脚本:ぽこぽこクラブ

演出:三上 陽永


キャスト:

レッド:高橋玄太

ブラック:渡辺芳博

イエロー:坂本健

グリーン:杉浦一輝

ブルー:三上陽永


 トップスのオープニングシリーズにぽこぽこクラブが突如として参加?? と驚いた。しかも演目は、初演を観て演出も含めてとても好きだった「暴発寸前のジャスティス」。

 これは観ねば!と取っていたチケットを幾つか捌いて観劇。


 面白かった。

 個人的には無くなって少し寂しいエピソードやシーンもあったが、コミカルな面とシビアな面のバランスは変わらず絶妙で素敵。

 なんだかな😅な設定も妙にすんなり飲み込めてしまう手動字幕? 笑 

 それぞれにクセの強い魅力的なキャラがごく普通に平和にワチャワチャしているのを見せておいてからの急展開、また和やかな親子の会話を聞かせながらこちらの想像に委ねられた不穏なラスト。

 トップスの舞台下まで使った舞台構成も面白かったし、クライマックスの舞台セット、照明、見惚れた。二日間しかやらないのは勿体ないなぁと思った。


 実は初回を最後列端で観た時は初演の方がまとまりが良くて好きかもと思った。特に戦闘員とのシーン。それに、某音楽に乗せてのダンス、人形劇、縄跳びのシーンは伏線という点でとても巧みだと後から思ったけれど、最初に観た時はちと長過ぎるように感じたし・・・


 でも2回目を最前列で観たら印象がかなり変わってとても引き込まれた。

 昼と夜で何か変わったのか、私の捉え方が変わったのか(多分こちら 笑)、おお!と思った。あちこちで笑いながら泣かされそうになって困った。

 初演よりも長い時間が過ぎているようなラストも切なかった。初演はまだ治っていないだけかとも思えたレッドの車椅子はもう日常のようだったし、見違えるようにしっかりして当然のように銃を携えて出かけていくイエロー、ヘルメットはあるがブラックの姿はない。一人変わらないように見えるブルー。

 気持ちがざわつく。

  そして、モモスケ君とお父さんレッドの微笑ましい会話に出てくる飛行船、何かを見つめて表情を変えるブルー・・・

 鳩尾辺りがヒュッとして終わる。書いてるだけでまたおかしくなったぃ😅


(でも、リアルピンちゃんが出てこなかったのはやはり残念である 笑)



 気苦労の多い中間管理職風ながら上手くメンバーを取り回すレッドのほのぼのとした佇まい、チンピラ風でも実は小心者な愛妻家ブラック、お調子者だが裏表はなく人の良いイエロー、この3人の設定はほぼ初演通り。


 少し設定が変わっていたのがグリーンとブルー。


 初演のグリーンは、病気の母親を抱えながら頑張る、ちと頼りなさはあるものの素直な良い子そのものだったが、今回は母親の影はなく、一軍に憧れながら何となく日々流されるまま過ごしている若者。でも素直な可愛気はそのまま。


 初演のブルーは何か裏がありそうで一種のUNDERCOVERとして来ているのかと勝手に想像したりしていたのだが、今回はもっと弱さが見える気がした。それにレッドとお茶している姿等が妙に乙女?で、ちとLGBTsな背景も含まれているのかも?なんて思ったりした。



 で、この感想をまとめながら、今回、個人的にこの二人と、少し前に観た渡辺源四郎商店 うさぎ庵のキャラとをちと比べていたことに気づいた😓

 以下は、感想というより単に書きたいことを書いているだけです、悪しからず。



 開演前、一人テレビを見ながらゴロゴロしている一輝さんが舞台にいるのだが、多分、ヒーロー隊に入ろうとグリーンが思い立つシーンの回想なのだろう。

 ここが渡辺源四郎商店うさぎ庵「コーラないんですけど」のケイちゃんに繋がって、ラスト、テレビの向こうで戦っているのであろう一軍ヒーローなグリーンの姿が、戦地から戻ってきたケイちゃんの纏う雰囲気と被るような気がしてクラクラした。

 ただ、ちと妄想癖があるような母親と共依存して働くことを拒否していたようなケイちゃんと比較すると、グリーンはとても素直にヒーローを目指しており、一軍ヒーローなグリーンは割とさらっと飲み込めてしまった。それが悪い訳ではないのだけれど、何だろ? 個人的な好みとしてもう少し何か引っ掛かりが欲しかったのかも知れない。

 

 

 ブルーは、渡辺源四郎商店 うさぎ庵「山中さんと犬と中山くん」の中山くんと無意識に一部重ねてた😅

 ブルーが大切なことを忘れないために銃を持っていると言うのに実はちょっと違和感があった。最初の引き金が引けなかった自分を思い出すため? でも撃てなくなって3軍に来たのだとすれば、思い出すも何もむしろトラウマになってしまっているのでは?と考えていて思いついた。

 銃を持つとヒーロー=冷徹な殺戮者のスイッチが入ってしまう、スイッチを入れたくなかったけれど、仲間を、町の人々を救うためにスイッチを入れた、という方が納得しやすい。

 精神的に続けられなくて一旦は3軍でリハビリをしていたけれど、いつかはまた2軍、1軍に戻るつもりだったので(地球を、人々を守りたい)、スイッチを入れられるように持っていたと言うような感じ。これだと、レッドが言う「怖かったんじゃないんですか?」の怖さの意味が「殺戮者から戻れなくなる」恐怖になる。実際、銃を持って地下室?に入っていくブルーはとても冷静で何かのスイッチが入っているように見えた。

 それが、刀を抜きたくないと言いながら、人を守るためにやはり刀を抜いた中山くんと被った(中山くんは、高田馬場の決闘で有名な中山安兵衛、後に赤穂浪士の1人となる)。

 中山くんは近くに彼の想いを受け止めて笑ってくれた奥田さんがいて、その後、何かを吹っ切ったように一緒に飲みに行く。

 ブルーは仲間や町の人達の顔が浮かんでスイッチを切ることが出来たのだろう、なんて考えると納得出来て、自分の中でまた裏設定が出来ていくのである 笑

 


 戦闘員との闘いについても人によって考え方が違うような気がする。

 初演のリアルな闘い、遺骸がそこにある生生しさ、えげつなさがすごく効果的に思えて、最初に観た時はそれが無いのは勿体ないように思えたのだけれど、次に観た時は、今回の、観客には見えない、しかし明らかに存在する何かと戦う彼らは、一般人の目には見えないCOVID-19と直接戦っている方々との重なりも感じて、まさに今のヒーローなのかも、とも思えた。


 ただ、戦闘員との闘いがゲームや映像で見ているような無機質なものではなく、生き物同士の殺し合いである、というおぞましさの説得力はやはり初演の方が強い気がした。


 今回も戦闘員を倒した後に愕然として動けなくなっているブラック、イエロー、グリーン、彼らを叱りつけるように指示を出すブルーの姿から相当な非情さは感じたし、初演の衝撃がなかったら十分満足したと思う。

 銃で殺す、というのも、やり方によってはとても非情で感覚的には凄まじくなると思う。


 思うのだが、その場面は幕の向こうで行われ、どうだったのかは観客には見えない。テレビの向こうで颯爽と戦う一軍ヒーローに憧れるグリーンにとって、冷静に銃で敵を倒すブルーの姿はやはり格好良かったのではなかろうかとも想像してしまった。


 あ、でも、ヒーローへの憧れは、ヒーローを目指す若者達のモチベーションには違いないのだし、おぞましさを越えてなお一軍になりたいと望む気持ちに格好良さへの憧れがあってもこの時点では良いのかも、と今、自問自答しながら思った😅


あらすじはまた時間がある時に追記予定(いつになるかは不明) 初演と大体同じにしてしまいそうだし。

| | コメント (0)

« 2021年3月 | トップページ | 2021年12月 »