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2019年3月

ピルグリム2019(ネタバレあり)

虚構の劇団 第14回公演

 

シアターサンモール(東京)
近鉄アート館(大阪)
あかがねミュージアム(愛媛県 新居浜)

 

2/22夜、3/10昼、3/17昼、3/24昼 他(笑) 観劇

 

 

作・演出:鴻上尚史

 

キャスト:
六本木ミノル:渡辺芳博
直太郎:秋元龍太朗
朝霧悦子/ラブミードゥ:小野川晶

 

マッドサイエンティスト:三上陽永
鈴木文華/タンジェリンドリーム:小沢道成
浦川/ウララ/テンクチャー:森田ひかり
ハラ/ハラハラ:梅津瑞樹
キョーヘイ:金本大樹

 

ムーンライトビリーバー:溝畑 藍

 

黒マント:伊藤今人(梅棒/ゲキバカ)

 

シンシア 他:吉原桃香
オアシス,アジールの住人その他:那須康史 山越大輔

 

 

アンサンブル:石田彩乃, 坂本健, 辻捺々,

 

 

 

 

大千穐楽も終わってから書いている。

 

 

良かった。
未だに油断すると気持ちを引っ張られそうになる。鳩尾辺りがおかしくなる。
まさに「軋む」ので、いい加減ちと困る・・・

 

そのくせ、話を解釈しようとすると未だに何だかよくわからない。掴めない。自分の中でも上手く落ち着かない。

 

部分、部分では琴線に触れる、とても引き寄せられる言葉、シーンがあり、そして、どのキャラもそれぞれに鮮やかに魅力的で惹き付けられた。

 

大体、今、居る場所(土地、家族、集団、社会 とにかく自分が居る処)に違和感や幻滅を覚えてここではない何処かを求める話を始められたら、私のように確固たる自分を持たないくせに妙にプライドは高くて、精神的に常にウロウロしているような奴は引っ張られますよ、そりゃ(・・;)

 

私にとっては、綺麗だ!と惹き付けられて、もっと良く見ようと見つめ過ぎるとかえって見えなくなる星みたいなお芝居だったかも。

 

ま、私はただの観客なので好きだと思えるものが観られればそれで良いのだけれど。
それでも感想を書こうとすると考えてしまう訳で・・・

 

 

 

ものすごく表面的に捉えれば、

 

自分達で勝手に神格化した若い作家の元に集まったはみ出し者達が共同体を作るが、人間関係が上手く行かずに失敗。一人の犠牲者を出したことを気に病み、共同体を抜けた作家が、スランプの果てに当時のことをモチーフに小説を書き出し、自らその妄想に取り込まれ、自殺を図った。

 

 

 

 

・・・・・・・・違う。

 

 

 

そう言うことじゃない!
と、四方八方から抗議の声が飛んできそうだ(^_^;)

 

 

 

違う。
と私自身が思う。

 

 

 

でも、一面から見ればあながち間違ってるとも言えないと思う。

 

 

それがどうしてあんなキラキラしながら鳩尾辺りをヒュッとさせるようなお芝居になるのか・・・謎だ・・・

 

 

あの世界は六本木先生が創り出したもので、それぞれのキャラには先生の想いの何かが反映されているはずで・・・

 

そもそもこれは鴻上さんが創り出した世界で・・・と取り留めなく考えてしまうので、一旦、止め(^_^;)

 

 

 

内容について書こうと思うと思考が錯綜して四方八方に飛ぶので、とりあえずキャラ、役者さん達。

 

(どう考えてもやみくもに長くなるな、これ。と言うより、すでに長い(-_-;))

 

 

皆様、素敵だった。

 

 

天草四郎からガラッと変わった(笑) 秋元さんの直ちゃんは、諦観したような六本木先生に果敢に絡み、潔く弾けていて可愛かったし、カイに呼び掛けるシーンは切なかった。彼は隠していることはあるけど、水晶に映しても、多分、一人な気がする。
先生に跳び蹴りする所は流石だった 笑
(なお、個人的には直ちゃんが「カイ!」と呼び掛ける度に、何故か一代前の直ちゃん:山本耕史さんがカイとして浮かんでしまってた 笑)

 

 

その六本木先生は予想通り渡辺さん。これまでも落ち着いた達観、諦観したような役が多くて誰かを迷いながら見捨てるようには思い難いので、最初、個人的にはちと違和感も感じたのだけれど、すぐに消えた。特に大千穐楽、ようやく上手になり(ずっと下手だった)、クライマックスのお顔がまともに見えて、こんな表情してたんだ・・・と、一気に泣かされそうになった。

 

 

編集者の朝霧さん、晶さん。観る度にお綺麗になるのに、線が細い感じが全然しない 笑
アグレッシブで弱さを感じない訳ではないのだけれどたくましい朝霧さん、素敵だった。
そして、ラブミードゥ。あの羽の動かし方に惚れました! 笑
あの姿で切なくなるのだから恐ろしい。(ま、これは晶さんだけでなく、周りの方々も込みでだけど。)

 

 

黒マント、今人さん。穏やかなのだが独特の雰囲気があって、黒マントの異質性と合っている気がした。
でも、私にとって、黒マントも掴めそうで全然掴めない存在だ。生け贄そのもの・・・うーむ。

 

 

 

ここではない何処かを求める旅人達。
彼らのやり取りが楽しいわ、可笑しいわ、可愛いわ、そしてふいに切なくなる。観る度にそれぞれの役への馴染み方が深くなってドキドキさせられた。

 

 

 

マッドサイエンティスト、陽永さん。
オアシスを探して颯爽と明るく輝いていて、タンジェリンを心底大切にしている姿は微笑ましく(ラブミードゥやムーライトビリーバーには結構子供扱いされてた 笑) 、とても素敵だった。
だからこそ、変わっていくタンジェリンをただじっと見詰めるだけのマッドさんの言い様もない表情についつい引っ張られてしまい、この時のタンジェリンは勿論、六本木先生やそしてテンクチャーの表情も観たいのに、と、かなり悩乱をいたしました・・・
そして気がつくとマッドさんは消えている。
え?と思った。
他の旅人達にはそれなりに結末があるのに彼には何もないのか?
と考えてしまったのだが、オアシスを探していたのは彼だけだ。彼が研鑽した魂のタンジェリンの変貌と共に、六本木先生のオアシスへの希望が消えたと言うことなのかも・・・と思ったりした。

 

オアシスはどこでしょう?
大体、オアシスとは何だ?場所?それとも何かの社会?
青い鳥って訳でもなさそうだしな。
何となく常に求める先に見えるものであって、たどり着くものではないような気がする。

 

 

タンジェリンドリーム/鈴木文華、小沢さん。
初日、登場シーン、うひゃあ?! それ? それですか?!
でも、そうだよねぇ。
と内心、悶絶してました 笑

 

頬を膨らませてマッドさんとにらめっこ。
まあ、可愛い、可愛い。何だろな、この同期二人 笑

 

魂の彼女は、他者との共感力が高く、各所に現れる番人達ともすぐに繋がりを形成し、九頭竜様の孤独をも呑み込むのに、実体化した彼女は六本木先生と彼の創造物であるコミューンの理想像しか見ない、見えない。
テンクチャーを責める言い方、六本木先生にすり寄る姿がすごくパラノイア的で怖かった。
一歩間違えばとんでもなく嫌なキャラにもなりかねないのに、最後までとても魅力的だった。

 

 

 

ウララ、ひかりさん。
お姫様を自称する彼女は、ユートピア、理想郷を探す人。テンクチャー、浦川さんの見えない方の人が実体化したようなものかな?
我が儘そうに振る舞っても振る舞い切れない。でも元気に振る舞うウララは楽しかった。
そして浦川さん、テンクチャー、良かった・・・壊れかけた共同体を必死に守ろうとしている姿。あちこちの表情を見逃したくなくて大変だった。自らを刺す六本木先生を歯を食い縛るようにして凝視する所などすごくて、なかなか六本木先生に視線を移せなくて困った。
あ、那須さんと山越さんを従えて、ブルゾンさんのように微笑む姿も素敵だった 笑

 

 

 

キョーヘイ、大樹さん。
いやぁ・・・キラキラしてた。
あれだけ踊りながら台詞も綺麗で佇まいも伸びやか、理不尽な命令もまずは笑顔で聞くという奴隷族の習性みたいな感じもとても哀しく自然で、上手いなぁと思った。
彼が探していたのはアジール。封印された場所も一種のアジールと言えなくもない、のか?
鏡の洞窟に封印されて、彼はずっと何を見続けるんだろう。
(でも、薬が切れたらどうなりますかな?とチラッと思った(^_^;))

 

 

 

ハラハラ/ハラさん、梅津さん。
初日は、正直、一所懸命さが前に出てしまってぎこちなくなっているような気がして、観てるこちらがちとハラハラしたが(^_^;)、観る度に自由になっていく感じで存在感が増してた気がする。構って構ってなウザさやイタさがちゃんと可笑しさになって、恥ずかしいくらい真っ当な願望がすごく切なくて、最期よりも九頭竜様のところで泣かされた。
そもそも、生まれて第一声が「生まれてきてすみません。」・・・
(しかし、スラッと今時のイケメンな梅津さんにこの役させますかぁ、鴻上さん、と内心思った 笑)

 

 

 

ムーライトビリーバー、溝畑さん。
歌って踊って、踊りながら旅人達を人を食ったような物言いでいなして、その実、妹を救うために九頭竜様のガードを通り抜けようとしていた人。

 

って、どんな人だ?(・・;)

 

お歌も良かったし、身のこなしも鮮やかで素敵だった。旅人達がオアシス?にたどり着いたお祝い会でタンジェリンとマッドに「知りませんよ?」とニコッとするところが妙に印象に残った。
過去のことは忘れてしまう世界なのか、妹なのか? 妹なら入り口にいた彼女はどうなったんだ?

 

 

 

研修生の吉原さんはメイドのシンシアとして出てらして、重い役をさらりとこなしてらした。
那須さん、山越さんは背も高く、ご主人様役やテンクチャーのバックなどとても見栄えがして素敵だった。
お三方ともオアシスのシーンや、ダンスもそれぞれ素敵だった。

 

 

さらにアンサンブルの石田さん, 辻さん、そして坂本さん。
辻さんは、朝霧さんの後ろでパネル持って踊ってる姿がとてもキュートだった。いつもビシビシと音がしそうなくらいきっちり踊ってらして表情も楽しくて。

 

石田さんもすごく笑顔で踊ってらした。坂本さんとタイタニックやったり可愛かった 笑

 

で、その坂本さん。
ぽこぽこの坂本さんを虚構の劇団公演で観るなんて、可笑しいやら感慨深いやら・・・
勿論嬉しかったのだが複雑な気分にもなった(^_^;)
ダンス、ご主人様役、その他いろいろ、出てらっしゃる度につい目で追ってしまい、慌ててメインのお芝居に気を戻したりしてました 笑

 

 

以上で、一旦終了。
徐々に訂正、追加していくかもしれない 笑

 


(あらすじ)

 

連載打ち切りを宣言された作家:六本木は、編集者:朝霧から「ディストピア小説を。」と提案されたこともあってか、最後の小説にするつもりで、かつてのコミューン仲間:鈴木文華(押し掛け居候の直太郎は彼女の名を聞いて顔色を変える)の文章「黒マントの思い出」をモチーフとした長編小説を書き始めた。

 

 

オアシスを目指す魂族のマッドサイエンティスト、ユートピアを目指す短命族ウララ、アジールを目指す奴隷族キョーヘイの三人は揉めたりしつつも何故か一緒にここではない場所に向かって旅していた。

 

突然、黒マントの男が現れ、答えられない問題を出し、ユートピアもアジールも無いと言い捨てて去っていく。

 

三人が唖然としていると、マッドがずっと引いていた棺が開き、タンジェリンドリームが現れる。かつては実体をもっていたらしいタンジェリンは、ボロボロの状態で山中にいたところでマッドに見出だされ、魂としての研鑽を積んでいたが、些細なことで棺に隠れていた。

 

宿を探す彼らの前に再び黒マントが現れ、ウララが命と引き換えに産み落としたハラハラの誕生を代金として宿を提供する。

 

 

彼らはオアシスへと続く洞窟の入口にたどり着く。入口にいたムーライトビリーバーから、入口を守る九頭竜様の怒りを静めることが出来れば入れるかも、と聞き、様々にチャレンジするが上手くいかない。最後にハラハラが命と引き換えに九頭竜様の怒りを静められたかにみえた時、

 

書き進める六本木に黒マントが話しかける。「死んじゃダメだよ。死ぬことに意味はないんだから。」

 

驚きながら六本木は書き直す。

 

ハラハラは死ななかったが、九頭竜様の怒りも静まらなかった。そこにタンジェリンが進み出て「一緒にオアシスに行きましょう。」と呼び掛け、小さくなった九頭竜を呑み込んだ。

 

 

再び、黒マントが六本木に話しかける。
「一緒に行くかい?」
引き寄せられるように歩み出す六本木。

 

 

進んだ先は鏡の洞窟。
見える自分と見えない自分の葛藤が矢となって降ってくる。
六本木も一緒になって、洞窟の案内人ラブミードゥに抜ける方法を尋ねると、「イケニエを捧げれば、一時的に葛藤が麻痺して抜けられる。」

 

イケニエなどと否定する六本木がマッドの発明薬バイバイケンオ(見える自分と見えない自分の弱い方が消え、葛藤はなくなる)の話をすると、いきなりキョーヘイがそれを飲み込み、見える方が消えていく。

 

キョーヘイはご主人様の「死ね。」の命令から同じ奴隷仲間にも裏切られ逃げてきた。
彼はイケニエになることを選び、残った旅人達は洞窟を駆け抜ける。

 

 

着いた先はオアシス?
テンクチャーをはじめとする人々がにこやかに一同を迎えるが、もてなしのご馳走を食べたタンジェリンは「この味を知っている。泣きながら作ったのか?」と問う。
笑顔のままでテンクチャーは否定する。

 

この場所を見て歩くうちに、六本木はかつてのコミューンを見て取り混乱する。
そしてタンジェリンも変貌していく。六本木を崇め、それを周りにも強要し、やがてマッドに実体化の薬を求めて実体化する。
マッドはなすすべもなく見詰めている。

 

黙ってタンジェリンの言うことを聞いていたテンクチャーだが、突然、イケニエの儀式を始めると言い出し、人々がナイフを持ってタンジェリンに襲いかかるとみせて、六本木を拘束する。
彼こそ本当のイケニエだと。

 

 

そこに黒マント、さらに直太郎が飛び込んできて六本木を守ろうとするが、彼はタンジェリンを見て驚く。「姉さん?」
その隙に皆が六本木にナイフを突き出すが、ハラハラが身代わりとなって倒れる。

 

今のうちに!と黒マントが六本木と直太郎を押し出し、気がつくと二人は六本木の部屋にいた。

 

訪ねてきた朝霧は小説がずいぶん進んでいると喜ぶが、二人は唖然としたまま。

 

 

やがて六本木は、今もコミューンを守る浦川に電話するが、彼女は、お金が出来たら連絡をとだけ言って電話を切る。

 

 

夜、黒マントが現れる。
思い乱れている直太郎と六本木が話しているところへ、浦川、いやテンクチャーが現れる。

 

 

天使の家三周年記念の会、締め括りは、鈴木文華のイケニエの儀式。
しかし、殺す/殺せないと人々が迷う間に鈴木は逃げ出し、山中で魂になった。

 

 

六本木もタンジェリン/鈴木文華も思い出した。
文華は弟:直太郎に六本木を託し、倒れた。

 

 

六本木は、テンクチャーからナイフを受け取り・・・

 

黒マントの制止も聞かずに胸に突き刺した。

 

 

六本木の意識が戻るのを願う直太郎は、行方知れずの恩人カイに呼び掛けている。

 

黒マントの声が聞こえる。
六本木は見えない世界を旅している。でもきっと帰ってくる。君がここにいるんだから。

 

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