« 青春の門~放浪篇~(ネタバレあり) | トップページ | あいつをクビにするか(ネタバレあり) »

イントレランスの祭(ネタバレあり)

4月10日夜、4月13日夜、4月17日夜(東京楽日) 全労済ホール/スペース・ゼロ
4月29日夜(東京凱旋公演初日)、5月6日昼(大千穐楽) よみうり大手町ホール

KOKAMI@network  vol.14

作・演出:鴻上尚史

キャスト:
佐渡健吾:風間俊介
青井蛍(エピクラル皇室第83代女王)/藤原遥(蛍が姿をコピーした日本人):岡本玲
青井蛍(最初のバージョン):藤田記子

清水良太(日本防衛隊隊長):久ヶ沢徹
大石はづき(日本防衛隊隊員):早織

竹森和也(フリーのディレクター):福田転球

ツバルトキアン(黒井の恋人)/伴将人/警官:三上陽永
平山アピルム(竹森のアシスタント):田村健太郎

黒井哲志(エピクラル人友愛協会 事務局長):大高洋夫

女子高生/日本防衛隊隊員/友愛協会員/バックダンサー/女性レポーター:木村美月
女子高生/日本防衛隊隊員/友愛協会員/バックダンサー/女性レポーター/カメラマン:池之上真菜
日本防衛隊隊員/友愛協会員/バックダンサー/男性レポーター/カメラマン:梅津瑞樹
杉田義雄/日本防衛隊隊員/友愛協会員/バックダンサー/男性レポーター:佐川健之輔



  今回の感想を書こうと思って感想用のフォルダを開けたら、虚構版初日の感想の書きかけが出てきた(あの時は結局書けなかったのだな、多分)。
虚構版も好きなのだが(今、BGM的に虚構版を流しながら書いているのだが、うん、好き。皆様、素敵だ~)、あの時の初日、正直どう捉えればよいのか戸惑ったのも覚えている。その初日の感想に「ベテランの役者さん達がやるのなら、もっとすんなり観られるような気がした。」と書いてあった。 

  今回がまさにそれ! である。

  清水隊長、竹森さん、黒井さんが明らかに年長者で、主役の二人をはじめ他のキャラは若者。ただし、子供とはもう言えない年頃。
  どう歩むべきか足掻いている彼らを、頭から認めず、何かを押し付け、いいように操ろうとする大人達。 と言うようにも見えた。

  今、改めて虚構版を観ると台詞やシーンもあちこちで少し変わっている。
やはり今回の方がわかりやすくなっていた気がする。
(個人的には、好きな台詞やシーンが抜けている所もあってちと寂しくもあるけれども…)

  どちらがと言うことではなくて、こちらもとても好きなお芝居だった。
  笑わされながら、切なくて怖い。差別。人の本質。
  結局、何も解決していないのだが、希望も見えるような気がする。

  戦争で故郷を追われ、地球に難民として逃げてきたエピクラル人。上位の人々が亡くなってしまったために請われてやむ無く女王になる皇位継承権第9位の青井蛍と恋人の売れないアーティスト佐渡健吾、地球人。蛍はエピクラル人というだけでなく、無理な2回のメタモルフォーゼのため緊張が解けると最初のバージョン(太って老ける)に戻ってしまう。

エピクラル人を追い出そうとする日本防衛隊、判り合えることを諦めてエピクラル人だけの社会を作ろうとしている友愛協会。日本内で差別されてきた地球人ディレクターが対立を煽る。

ニュース的には、エピクラル人と日本人間の緊張がマスコミとネットのせいで一気に高まり、同じネットのせいで急速に静まって、また常態的な確執を繰り返す日々に戻った、と言うことになると思うが、蛍さんと健吾さんにとっては、んー、極限状態の愛の確認と別離? 

  お話そのものには突っ込み所もたくさんあって、実のところ全面的に受け入れることができている訳ではないのだが、各シーンのやり取りは音楽、ダンス、照明なども含めて引き込まれたし、それぞれのキャラを演じる役者さん達が皆様すごくはまっていて魅力的で、結果としてお芝居としてはすごく好き。

  風間さんが、もう本当に、戸惑い揺れ動きながらも最後は蛍さんを守る佐渡さんを絶妙に演じて下さって、その表情にクラクラさせられた。大千穐楽なんて時々泣き出してしまわれるのでは?と心配になるくらいで思い切り引っ張られた。
  虚構の時の渡辺さんよりも線が細く見えて危なっかしい分、より純粋に突っ走るように見えた。(渡辺さんの佐渡さんは危機に冷静に対応する強かさも持っている感じがした。多分、演じた時の実年齢は風間さんが上だと思うけど(^_^;))
  シリアスなシーンだけでなく、可笑しいシーンはもう思い切り潔く可笑しくて、爆笑しながら上手いなぁと感心した。
  実は踊れるんです(笑)のダンスも素敵だったが、私は毎回ついつい三上さんはじめ虚構の皆様を追ってしまっていたので良く見てません、ごめんなさいf(^_^;)
  DVDになったら恐らく風間さんメインだろうから、その時にちゃんと見ます…。

  二人の蛍さんもそれぞれ魅力的で、岡本さんはそりゃもうほっとけない可愛さ、健気さ、でも、藤田さんも負けないくらい可愛くて素敵だった。ラストは本当に綺麗だった。
  で、このお二人もまた潔く可笑しくて、初めて出てきた時の蛍Bさんとかもう…風間さんとの息もぴったりで可愛いんだか怖いんだか…
  東京最初の楽日カーテンコールでも岡本さん「人前でこんなにパンツ見せたの初めてです。」って、貴女(笑)。
  ま、そのシーンはむしろかっこ良いのだけれども。

  ただ、「蛍」さんと言う方にはちょっと引っ掛かるものを感じてしまい、佐渡さんほどには引き寄せられない、実は。

  今の蛍さんはともかく、長野の時の蛍さん、あれは怖い。「私が本当の遥になったんだよ!」って、姿を丸写ししていることを考えるとオリジナルの地球人の存在を本気で脅かす発言だぞ…
  そして、何故に今も将人さんを想うと変身するんだ?  いや、最初にツバルトキアンさんを見て変身してしまったのは衝撃のせい、で良いと思うけど、その後のは違う。将人さんとの日々の記憶が強烈で変身出来るのか? でも健吾さんだって、ふっくらしてない蛍さんとしか過ごしてこなかったのに…
  などと、どうも割り切れない思いがぐるぐるしてしまうのである。

   割り切れないのは黒井さんに対してもである。

   演じてらっしゃる大高さんは素敵だ。一見、穏やかで誠実そうでありながら、佐渡さんを切り捨て、女王である蛍さんをも駒にしようとする冷徹さ。 大きな集団を率いていこうとする意志。

  だからこそ「黒井さん」と言う方は個人的には今一つ受け入れ難い。

   いや、彼は政治家なのだと考えると、思考の流れは納得出来る。
  エピクラル人が日本で生きていくためにはどうすれば良いのか、そのためなら何でもする。ある意味、滅私奉公なのかも知れない。
  「愛」の捉え方も違うのだろう。ツバルトキアンさんのことは女性として確かに好みで、付き合うのはやぶさかではないが、義務として陛下を愛することも普通に出来る、と言うことだろう。
   古河さんや大高さんが演じてらっしゃるので悪人とは思いたくないと言うのもある…が、やっぱり恋人としてはバカヤロウだな(^_^;)
  そして、特別区と言う発想はわからなくもないが難しいと思うなぁ。
 「第9地区」のようになるか、周囲の反発がますます大きくなってそれこそ内紛になりかねないような…見えないものは疑心暗鬼が増大するだけではなかろうか…ま、そこまでこのお芝居で考えなくて良いのか。

 
 対する清水隊長:久ヶ沢さんは、いやあ、キュート!
 独り言シーン、切り替え後のすまし顔も合わせて、もう可愛いやら可笑しいやら、久ヶ沢さん、素敵だ~(笑)
 あれで5万人を超えるジャパレンジャーを率いてエピクラル人を迫害しているのだし、佐渡さんとの交渉などを見ると、黒井さん同様、冷酷で強かな顔も持っているのだろうけれども、舞台で観る限りはどこか抜けていてガキ大将がそのまま大人になったような可愛げのある方だった。遥ちゃんには良いように使われてるし…
 
 あ、それとも、日本は子供の遊び感覚で5万人を超える人々が他者の迫害に参加し得る国、ということなのか…な? そう言えば、ジャパレンジャーの街頭でのエピクラル人糾弾も子供の悪口レベルだ。 ひょえ…

 清水隊長の補佐のような大石さん:早織さん。
 見たことはあるような気がしていたが、鴻上さんの紹介を聞くまで「舞妓Haaan!!!」の駒子さんだとは気づかなかった。
ホントに潔く直情的な大石さんを元気一杯に演じておられて良かった。隊長の霧吹き?も果敢に受けてたし(笑) でも、清水隊長の好みではないだろなと思う、なんとなく(^^;

 

 対決を煽る竹森さん:転球さん。もちろん竹森さんとしてとても良かった。が、

 何と言っても一番印象的なのは、歌! あのミュージカル「差別で満貫」。

 びっくりした。
 転球さん、あんなにお歌お上手だったんだ~。ミュージカル学科出身だそうで…本気で感心した。歌の内容が内容でなければ手拍子したいくらいだった。
 そして、竹森さんとしてあのグイグイくる感じ。流石だ。田村さんの平山さんが明らかに年下で無垢な雰囲気なので、マスコミとしてのえげつなさと被差別者としての内面からの欲求みたいなものがさらに際立って、それでいて妙に大らかさも感じられるのは転球さんのカラーだと思うけれど、良かった。
 蛍Bさんを罵倒する際に言いながらご自分で笑い出してしまい、東京の最初の楽日だったか大高さんに頭叩かれてたな(笑)

 

 エピクラル人で竹森さんのアシスタント平山さん:田村さん(通称タムケン、だそうだ)。
 今回、平山さんにもかなり引っ張られた。素敵だった。
 虚構版の杉浦さんの平山さんも真っすぐでとても良い若者だったが、今回は竹森さんに子供扱いされて当然な年齢差、そして佐渡さんより少し年下な設定がしっくりはまって、
自分の夢を素直に信じて追いかけるキラキラ感がすごく良かった。
 創りたい作品についての時やクライマックスでの佐渡さんとのやり取り、お二人の表情、雰囲気があまりにも真に迫っていて観ている側の感覚にぶつかってくるようで息が詰まりそうだった。泣かされた。

 さて、ツバルトキアンさん:陽永さん。虚構版で一番好きだったのが実はこのツバルトキアンさんだったのである。(陽永さんのを観た後でも、伊藤さんのツバルトキアンさん、やはり好きだなぁ。)
 今回キャスティングされた役者さん達を見て、多分、隊長は久ヶ沢さんだろうと思ったので(年長組の配役予想は全員当たった(^^))、陽永さん、ツバルトキアンさんやって下さらないかなぁと密かに期待していた。
 なので、最初にツバルトキアンさんが出てきた瞬間、一気にテンションが上がった!(笑) 
  あの開けっぴろげな自分本位、素敵だった~。
 「性格悪い。」と言われていたが、単に自分の感情に正直でそれを隠す気も全くないので、むしろ清々しくて憎めない。キュート。
 虚構版で好きなポイントの一つだった蛍さんとの女の友情的なシーンが今回結構カットされていてちと残念だったけれど、私としては差別意識が一番低いのはツバルトキアンさんだと思うのである。
  自分が一番であることと好き嫌い、そして自分にとってプラスかマイナスかでの対応の違いはあるけれど、人種やら性別やらでどうこうという意識はないような気がする。
 平山さんの純粋さ、キラキラ感とはまた違った方向でツバルトキアンさんもとても純粋でキラキラしていて、胸が痛む展開の中でこの二人を見るとホッとした。
 そういうところが黒井さんも好きなのかも、と思ったりした。
 陽永さん、お顔立ちが可愛らしいのでああいう鬘と服装では最初から女性にも見えてしまい、笑いを誘うギャップという点では少々損されてるかなと思ったが、その分、ツバルトキアンさんが間違ってこの姿を選んでしまったのが納得できたりもした(笑)
 凱旋公演ではその分将人さんの男っぽさが強くなっていた気がして、かっこよかった。
 
 それにしても、大石さんもツバルトキアンさんも好きな男性には「お弁当」。二人とも何かを読んで思い込んでる感じがアリアリで可笑しかった。

 その他の役をクルクルと早変わりでしっかり演じてらした虚構の4名も素敵だった。
 美月さんと池ノ上さんの女子高生はそのものだったし、ジャパレンジャー制服姿の梅津さんはアニメのキャラクターがそのまま出てきたみたいだった。
 杉田義雄さんな佐川さんの怯えぶりもハラハラしたし、バックダンサー4人はクールでかっこよかった。
 先にも書いたが、冒頭とバトルシーンでは何故かどうしても陽永さんを含めた虚構5人を目で追ってしまって、主役と年長組をちゃんと観ることが出来なかった…(^^;


後は蛇足というか自分の覚書みたいなもの。
お話の突っ込み所を野暮に列記(笑)

1.エピクラル人が日本人を完全コピーって、エピクラル人は透視能力でも持ってるのか?
  蛍さんと健吾さんの会話から思うに、身体の中身もコピーされているようなのだけれども…

2.最初にいい加減にメタモルフォーゼしてしまった方々はどうなったんだ?
  それに、ツバルトキアンさんは子供を産む性としてOKなのか?

3.日本政府としては、勝手に人間を完全コピーすることを容認したのか? 
  外見が全く同じ人間が本人が知らない間に増えたらいろいろ問題が生じるだろう。
  実際、蛍さんはそういうことをやってしまった訳だし。

4.長野時代、蛍さんはどうやって遥さんと入れ替わったんだ? 

5.アートン星人はエピクラル星だけが欲しかったのか? 地球に逃げたエピクラル人を追いかけてはこないのか? 地球はアートン星人との交流はなかったのか?
  今の世界の難民問題に当てはめると、ジャパレンジャーがエピクラル人を拒絶する理由の一つにもなりそうだ。

6.他の国に入ったエピクラル人はどうしているんだ?

7.ラストは特別区設立の方向で動いているが、青井さんは納得できたのか? 健吾さんがいないのだからOKということ?

とりあえず、こんなところで一旦終了。

|

« 青春の門~放浪篇~(ネタバレあり) | トップページ | あいつをクビにするか(ネタバレあり) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: イントレランスの祭(ネタバレあり):

« 青春の門~放浪篇~(ネタバレあり) | トップページ | あいつをクビにするか(ネタバレあり) »