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青春の門~放浪篇~(ネタバレあり)

2月3日夜(初日)、2月7日昼、2月17日昼(楽日)観劇   SPACE雑游
虚構の劇団番外公演 虚構の旅団vol.3

原作:五木寛之(「青春の門」講談社刊より)
脚本:鐘下辰男
演出:千葉哲也


キャスト:(あやふやです。わかり次第訂正します)

伊吹信介:三上陽永(虚構の劇団)
緒方達也: 杉浦一輝(虚構の劇団)
島: 森田ひかり(虚構の劇団)
民江?: 木村美月(虚構の劇団)
早瀬理子:池之上真菜(虚構の劇団)
浜崎竜二:梅津瑞樹(虚構の劇団)
ナガツカ:熊谷魁人(虚構の劇団)
木元良次:佐川健之輔(虚構の劇団)

笹崎ルミ:松田佳央理
ナチ:佐々木岳史

トミ:磯部莉菜子
おばちゃん:大沼百合子

矢嶋:伊藤公一
怜子:小林夏子


いやぁ、凄かった。熱かった。泣かされた。


初日はとにかく圧倒された。

どが付くくらい″青い″青春が全方向に炸裂していた。

全く話を知らずに観た私はしばしば呆気に取られ、時々は直視出来ず、目線の方向を変えるとそこにも青白い炎がメラメラと揺らいでいたりして、どこもかしこもパンパンに張り詰めた劇場内。

観ているだけでも疲れた。


正直、内容的にはちと引っかかるものも感じて、劇団白夜の彼らとは全面的にシンクロすることは出来なかった。

自分がなすべき事を真剣に考え探すことはとても大切なことだと思う。そういう点で彼らは凄いと思う。

でも、学生として大学に入ったなら、まずは学問を学ぶべきだと思うのですよ、やはり。バイトで授業に出られない、ではなくて、授業を受けた上でどうやって生活するかを考えないと学生である意味がないと思う。
そして、皆、本当に頭でっかち、口ばっかりに思えて、言ってることの立派さと透けて見える甘さの矛盾にかなり苦笑しながら観ていた。
バカにはしないけれど、肯定はしきれない。
″オバチャン″の目線に近かったのかも知れない。


特に緒方さん。港で働いている時ですら常に上から目線、現実を見ていない気がした。
「民衆が~」「民衆と~」って、誰だよ、それは? じゃ、君達は何だ?
危なっかしくて「子どもの遊び、笑わせるな。」とジャベールの歌が頭をよぎった。アンジョルラスの方がまだ地に足がついてる気がしたものな。朴念仁ぶりはどちらも同じだったけど(^^;)

日本の学生運動関係はあまり知らないし、クライマックスのバリケードの雰囲気から、ついミュージカルで馴染んでいるレミゼを思い浮かべてしまい勝ちだったのである。

まあ、この辺は見解の相違なので置いといて。


でも、虚構の旅団の彼らにはものすごく引っ張られた。

いつも書いているが、虚構の皆様の表情はあまりに真に迫っていて卑怯レベルなので、あの近さで見たらもう…こちらの感情まで思い切り翻弄されてしまった。


何事にも一所懸命な陽永さんの感情グチャグチャな泣き顔、決然としていながらどこかあらぬ方を見ている気がして危なっかしい一輝さんの眼差し、固い表情の後ろに激しい感情が燃え立つようなひかりさんの吸い込まれそうな目、フワフワしているようで冷静になすべきことを判断している美月さんの柔らかな笑顔…
研修生の皆様も、まあ、順調に成長して下さって…それぞれにえらく青臭すぎる学生そのものでゾクゾクさせられた。

客演の皆様もお見事で、世界がしっかりと形成されていた。

演出もとても良かった。

初日はいきなり最前列で把握仕切れなかったのだが、信介さんを緒方さんが紹介しているときの各人の反応が後のシーンに繋がっていることに、2度目の観劇時に気付いて、うわ、もったいないことした、と思った…

アクションシーンもすごくて、矢嶋さんと信介さんの対決はもちろんだが、女子同士のそれも相当な迫力で、それでいてどちらもとても切なかった。

後半、暗闇から「高きより飛び下りるごとき心もて この一生を 終るすべなきか」の文字が、開いた床下の明かりに照らされて浮かび上がるシーン、どきっとした。
この一文を書くのは美月さんなのだが、彼女は左利きで、その左で書かれていく文字の雰囲気が何かちょっと次元の異なるモノに思えてそれも良かった。

それから、劇中劇の中で下手の矢嶋さんが状況を滔々と語るシーンがあって、そのあまりに淀みのない語り方と、上手で真っ赤な襦袢?姿で刀を構える怜子さんの姿がちとつかさんのお芝居のようで面白かった。

役者さんについてもう少し。

本当に皆様、凄かった。

役に体当たりして取っ組み合って自分のモノにしている、とでも言えば近いような感じ。
脆さも弱さもひっくるめてキラキラしていた。みっともなさも格好良かった。


陽永さんが一番新米、と言うのは最初はちとくすぐったい思いがしたが、見ていて全然違和感がなくて、ひょえと思った。

確かに陽永さんは歳より若く見える方だけれど、それだけではあんな風にはならない。それぞれが関係性に見合う役の意識をしっかり纏っていたからなのだろうな。

陽永さん、とにかくいろいろな意味で全力で信介さんを生きている感じで引き寄せられた。
一番普通の感覚を持って足掻いている信介さん、他も観たいのに目を離すのが大変だった。アクションシーンは演技なのだろうが毎回ハラハラして身をすくめながら観ていた。ボロボロな姿も泣き顔も格好良かった。
あ、「宿題は自分でやった方が良いです。」の言い方も好き 笑


今回、とても表情に引き寄せられたのはひかりさんにもである。
冷たく睨みつける時も取っ組み合いをしている時も、縋り付いている時も、すごく魅力的だった。
で、あの太腿は女性から見ても相当刺激的で、そりゃ、健全な男の子の信介さんがああなってしまうのは無理からぬ事ではないかと…(^^;)


美月さんも素敵だった。
一見、フワフワした不思議ちゃん、でも実は何でもしっかりこなしていて、状況も冷静に判断している。ひとへの気遣いもさり気なく出来て、本当はあの中でも最も大人な一人なのかも知れない。そういう役がふんわりと似合っていた。
「伊吹君、自分をあまり買い被らない方が良いよ。」の雰囲気がとても好きだった 笑


緒方さんには苦笑したけれど、演じている一輝さんは良かった。あの日常生活からの乖離感…体現されていた。
志は間違っていないし、頭も良く弁も立つ。理想の実現性を信じて疑わない。若者を引っ張るリーダーとしての資質はもちろんあると思う。
でも、現実をちゃんと見ていない。港で働いているときもそれを行っている自分に酔っているように見えた。さらに功名心、エリート意識があることを自覚していない。民衆を操りたい悪い人達にとってはまさにうってつけの傀儡リーダーになりかねない。
一輝さん、そういう役も似合うかも、と思った。


池之上さんのきついキャラは、ホーボーズソングの時もそうだったけれど輪郭がとてもシャープ。

梅津さんの役の真面目だがちと頼りない雰囲気は、意図していなかったのかも知れないが始終ずり落ちてくる眼鏡が妙に合っていた。

佐川さんの体育会系文学部?みたいな豪快さと小ささを併せ持った感じも良かった。父親になる人としてはもっとちゃんとしろ、と思うけどね、オバチャンは 笑

で、熊谷さんは役名がまずね 笑 (私は長塚圭史さんもとても好きなのである。) 育ちの良さそうな線の細さと必死に頑張る姿に泣かされた。と同時に「ナガツカ!」と叱咤される度になんか圭史さんが浮かんでしまって尚更に印象的になってしまっていた(^^;)


客演の皆様もそれぞれ素敵。
伊藤さんと大沼さんは、表現は違うがどちらも彼らを放っておけない父親、母親、小林さんが優しいお姉さんで磯部さんがしっかり者の妹かな。

あの中で家族の縮図みたいな所もあるなぁと思った。


虚構の研修生さん達の一人芝居を観る劇場内でとりあえず書き終えた 笑

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