（これも今更ながら)みんなの宅配便（ネタバレあり)

お盆休みの感想まとめ　笑

7月4日昼、7月8日昼、7月10日夜観劇　　　明大前　KID AILACK ART HALL 5F

EPOCH MAN公演

作・演出:小沢道成
音楽:オレノグラフィティ

キャスト:
小角まや（アマヤドリ)
川本ナオト
小沢道成（虚構の劇団/EPOCH MAN)

小角まや（桐子)×小沢道成（佐竹)バージョン

小沢道成（桐子)×川本ナオト（佐竹)バージョン

小沢さんの演劇プロジェクト、EPOCH MAN、その第4回公演。　
（あれ？「谺は決して吼えない」は？　と思ったら、あれは一色さんとの二人のプロジェクトなんだな。)

第2回公演から観て、どれも呆気に取られるくらいすごくて引き込まれたのだが、これもまたすごかった。

最初に小角さん、小沢さんバージョンを観た。

うわっ…

途中逃げ出したくなるくらい怖かった。

要するに、寂しい独り暮らしの女性が宅配便のお兄さんのフレンドリーな対応に慰められているうちに彼に妄想を抱いてしまい暴走する話、なのだが、小角さん=桐子さんのトンチンカンな痛い言動も、それをなるべく傷つけずに是正しようと奮闘する小沢さん=佐竹さんの必死さも物凄くリアル。

心情的にも、どちら側の流れもすんなり納得出来てしまうので尚更怖い。

どうなるんだと半ば身をすくめた状態で観ていたが、さすが″みんなの宅配便″のお兄さん、社訓を思い出した佐竹さんが渾身の力で妄想を吹き飛ばす。
　最後、独り、窓から見える校庭の小学生を大声で励ます桐子さん。

　うゎ、観てからもう随分経つのに、今、書きながらちょっと涙出そうになった。

すごいわ、あの社訓。
宅配便なのに基本的にうどん　笑　　
全てうどんがベースの社訓なのだが、これが良い。爆笑してしまうが素敵。社長さんにお会いしてみたくなる。

何考えてるんだろ、社長。いや、小沢さん。
どこから出てくる、この発想。すごいなぁ。

で、役者さんとしてもとても良い。小沢さんの佐竹さん、とても素敵だった。桐子さんの惹かれてしまう気持ちがわかる　笑

また、小角さんの桐子さんもすごく自然で良かった。すごく自然に暴走していく。怖かったが素敵だった。

そして次に観たのが、小沢さん、川本さんバージョン。

まず劇場に入ってびっくりする。おお、そう来たかぁ！と思う。

小角さんとの時は服とかお菓子とかいろいろな小道具は本物だった。
しかし、今度は全て白い紙で作られた擬似品。携帯の音も役者さんが自分で言う。

本当の女性ではない小沢さんが桐子さんをやるのと、この小道具。

なるほど、と思う。

やはり印象が少し違った。

小沢さん=桐子さんも違和感は全くなかったが、孤独の印象が何となく違う。何だろう？　小角さんの桐子さんよりいろいろ考え過ぎて変な理論武装してそう、かな？
感覚的なものなので自分でも上手く説明できない。
で、妄想の世界はさらに小綺麗な作り物っぽさを感じたような気がした。

そして川本さん=佐竹さんは、フレンドリーさがより素に近い感じがした。小沢さんのは職業的にもフレンドリーにしようと心掛けている風にも思えたのだが、川本さんのは素で距離感が近い感じ。だから、桐子さんの妄想に気付いた時の嫌悪の表情もより遠慮がないと言うか…

　どちらも引き込まれたが、最後の佐竹さんの笑顔は個人的には小沢さんの方が好み。大丈夫！と言われている感じがした。いや、単に好みだと思います　笑

ただ、もう一回、小角さん、小沢さんバージョンを今度は入り口近くから観たら（先にはどちらも奥の最前列で観た)、また少し印象が変わって見えた。どちらの表情が見えるかで同じ台詞でも印象が異なる。

面白いよね。

怖かったが最後は何だか元気を貰った感じになった。

やっぱりすごいわ、あの社訓。
ではなくて（笑)、小沢さん。