« 「世界と戦う準備はできてるか?」楽日を観た(ネタバレあり) | トップページ | スーパーエンタープライズ( ネタバレあり) »

追憶のアリラン( ネタバレあり)

4月10日夜 池袋 東京芸術劇場 シアターイースト

劇団チョコレートケーキ


脚本:古川健
演出:日澤雄介

キャスト:
豊川千造(朝鮮総督府平壌地方法院検事局 三席検事):佐藤誓
豊川咲子(千造の妻):月影瞳
中垣飛松(朝鮮総督府平壌地方法院検事局 首席検事):岡本篤(劇団チョコレートケーキ)
緒方武夫(同 次席検事):菊池豪
川崎豊彦(同 四席検事):渡邊りょう(悪い芝居)
荒木福次郎(朝鮮総督府平壌憲兵隊長):佐瀬弘幸(SASENCOMMUN)
朴忠男(ぼくただお パク チュンナム)(検事局朝鮮人事務官):浅井伸治(劇団チョコレートケーキ)
金公欽(キム ゴンフム)(人民裁判委員):大内厚雄(演劇集団キャラメルボックス)
李孝三(イ ヒョサム)(人民裁判取調官):西尾友樹(劇団チョコレートケーキ)
任白龍(イム ペクリョン)(看守):青木シシャモ(タテヨコ企画)
崔承化(チェ スンファ)(人民裁判朝鮮側証人):辻新八(オフィスPAC)
崔仁恵(チェ インフェ)(承化の娘):永井若葉(ハイバイ)

以前、倉迫さん演出の「わが友ヒットラー」の時に脚本の古川健さんかな?が対談でいらして、同時期に上演していたヒットラーを題材にした「熱狂」を観たかったのだが、もういっぱいで入れなかった。
その後も予定が合わず観られなくて、今回ようやく観ることが出来た。

良かった。

期待は裏切られなかった。

かなり重い内容をまともに捉えながら、何と言うか、んー、冷静にきっちり描いている感じで、こちらも変に感情が偏ることなく観ることが出来た気がする。

まあ、日本側も朝鮮側も理性的な方々がしっかり立ってらしたからその印象なのかも知れないけれど。


青年団の「ソウル市民」や大きく見れば野田地図の「エッグ」などにも通じるお芝居で、ただ、こちらは場所が平壌だ。

冒頭の場面から豊川さんが帰国出来たことはわかっていても、どんな展開になるのか若干腰が引けたような状態で観ていた。


当たり前のことだが、国によらず1人1人を見ればいろいろな人がいる。

そして、状況によっては自分の気持ちにそぐわない行動をしなければならない時もある。

でも相手から見れば、進んでやってもやむを得ずやっても、やったことは同じ、とされて仕方ないこともある。

国、と言うか、集合体、そしてそれへの帰属意識って何なのだろう?
もし外宇宙から何かが攻めてきたりしたら、多分、国じゃなくて、皆、地球人だ。

その一方で、人と人との繋がり。友情。

豊川さんの妻子をソウルに送り届けた後、「友人のため」と危険を承知で平壌に戻る朴さん。

獄中での気晴らしに、と、豊川さんが皆にせがまれて語る物語は「あゝ無情」。あの時代に「レ・ミゼラブル」とは言わないわな。
確か直訳だと「虐げられた人々」

元々顔見知りの(と言うより、元は日本人に雇われて看守をしていて検事局の皆とは当然交流があった)看守さんも陰で一緒に聞き入っている。


だからと言って殊更に友情を強調するでもなく、どちらに偏るでもなく、やはりとても理性的。それでいて強い感情も見える。

何だろ?
すごく"賢い"お芝居だった。(穿った意味ではなくて、誉め言葉です、純粋に。)

役者さん達も皆様良かった。

正義漢で、自分が明確にやっていないことは主張するが、言い訳は一切しない豊川さんの誓さん。
裁判での弁明の機会に「ありません。」と繰り返し答える表情に釘付けにされた。

真の母国を取り戻すために今はロシアの支配も甘んじて受ける内面の熱い想いと強さを冷徹なまでに淡々と見せる金さんの大内さん。

それに対して、人としての友情をあくまでも穏やかな笑顔で貫く朴さんの浅井さん。

首席検事の岡本さんも、色々と苦労もして世渡りを覚えたのであろう大人な官僚を飄々と演じてらして良かった。

次もまた観たいと思ったし、改めて「熱狂」を観たいと思わされてしまった。


ただ、その…

少々滑舌が気になってしまった方が数人いらした。
とても良いお芝居だっただけにちょっと残念と言えば残念だった。

|

« 「世界と戦う準備はできてるか?」楽日を観た(ネタバレあり) | トップページ | スーパーエンタープライズ( ネタバレあり) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 追憶のアリラン( ネタバレあり):

« 「世界と戦う準備はできてるか?」楽日を観た(ネタバレあり) | トップページ | スーパーエンタープライズ( ネタバレあり) »