BE HERE NOW(ネタバレあり)
遅くなってしまったが、書きたいので書く。誰に言い訳してるんだろう 笑
7月10日夜, 13日夜、20日夜、21日昼 観劇 シアターグリーン BIG TREE THEATER
虚構の旅団、のはずなのになぜか書いてない。と思ったら下記のようなことが書いてあった。
文化庁委託事業「平成 26 年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
日本の演劇人を育てるプロジェクト 新進演劇人育成公演 -俳優部門-
よくわからないけれど、国プロの一種ということか?
作:鴻上尚史
演出:深作健太
キャスト:
北川俊太郎:杉浦一輝
友部正和:津村知与支(モダンスイマーズ)
女刑事1(実は遺失物係の事務員)・並木享子:小野川晶
女刑事2(実は警察署出入りの弁当屋)・茜雲翼:森田ひかり
デスラー総統:渡辺芳博
その部下:塚本翔大
イザベル・ドロンジョ女王:七味まゆ味(柿喰う客)
お供のボヤッキー:小沢道成
柄谷哲:三上陽永
その秘書ワンダ:木村美月
初演はDVDも観ていなくて、どうせならこのまま観ないで観ようと思った初日、第三舞台版を観ていなくても出だしはなんとなく鴻上さんと異なる演出や配役であることを感じたりしていたが、途中からそんなことは全く飛んでしまい、あー、やっぱり鴻上さんの言葉は好き!と思いながら観ていた。
相変わらずトロい私は、内容を把握出来たとは思えない。と言うより、観ている時は話そのものをあまり追っていなかった気がする。
他のお芝居ではどちらかと言うとストーリーを追っていて納得がいかないとかなりイライラしたりもするのだが、鴻上さんのお芝居の時は、もちろん追える時はストーリーも追っているけれど、場面、場面での台詞、やりとり、そして役者さん達の表情、仕草を感覚的に観ていることが多いように思う。
ふざけているような台詞の中にふいに混じるキラッとした言葉、今回のトモちゃんの「賛歌」の手紙のような一連の文章。
引き寄せられる。
そして、虚構の役者さん達がそれをまた絶妙に演じて下さるんだよなぁ。毎回、何だろう、この方々は、と思う。
心の変化がまともに見えるような気がするあの表情。
このお芝居は元々は第三舞台の役者さん達があっての台詞だったりもしたのだろうが、鴻上さんがかなり今回用に書き直したと言うこともあるのか、あちこちのシーンでそれぞれの表情の変化にクラクラさせられた。
中でも今回、自分でもちと戸惑ったくらい引っ張られたのが陽永さんの柄谷さん。
基本的に慇懃無礼、クールなのだが、タイムカプセルの話が引き出された時の急に陽が射したように無防備に嬉しげになる一瞬の表情、「私を愛する資格があるのは本物の私だけなんだ!」と周りを拒絶して転がるように走り去っていく一連のシーン、あの二つのシーンでは正直、ほとんど柄谷さんに釘付けだった。
いや、あの病室のシーンでは、周りを警戒しながら、北川さんにシンクロしていくドロンジョ様を見つめるボヤッキー小沢さんの表情の変化にもドキドキさせられたし、そのドロンジョ様七味さんも、北川さんの一輝さんも、トモちゃん津村さんも、皆様、素敵で、どの方も見逃したくないシーンだったのだが、楽前、楽日の2回はどうしても柄谷さんに目が行ってしまった…
どうもこういう自意識過剰な内面の弱さを無理に隠しているようなキャラには弱いみたいで、しかも陽永さんがえらくはまって見えて思い切り引っ張られた。
ワンダ役の木村さんが、一度柄谷さんの台詞に聞き入ってしまって台詞を言うのを忘れてしまったそうだが(美月ちゃん、可愛い 笑)、その気持ちわかる、と思ってしまった。いや、ダメですけどね、舞台の上では(^_^;)
ちょっとね、私の中では「天使は瞳を閉じて」のサブちゃんに通じるものがあるのかもしれない。
初日の後、帰宅してDVDで初演を観たのだが、勝村さんの柄谷さんにはそこまで引っ張られなかった。
今回の柄谷さん、デスラー総統、ボヤッキー辺りの設定と言うのか解釈と言うのか、そういうものに結構違いが感じられた。
今回演出の深作さんは、初演のBE HERE NOW が大好きな方らしくて、思った以上に初演をリスペクトした演出になっているのだが、同時に深作さんの解釈、好きなポイントも強く打ち出された演出になっているのだと思う。
だから、今回のを観て、DVDを観る前に予想した初演の配役は大体合っていたけれど、役から受ける印象は何か異なる。
そして、初演は北川さんと友部さんの世界の次元と他の方々の世界の次元は、一時的にシンクロはしたが所詮別れていくもののように見えたのだが、今回のは場所は違っても同じ次元にはいて続いていくような感じがした。
さらに初演は、別次元を引っ張っているのはどちらかと言うとデスラー総統に思えたが、今回は柄谷さん。
柄谷さんの、自分でもわからない焦燥感、不安感が周りにしみだして世界を緊張させているみたいな感じ、かなぁ。
渡辺さんのデスラー総統は筧さんのものよりも強いて穏やかに時流を見ながら苦悩している感じがする。
小沢さんのボヤッキーは伊藤さんのものよりも表面上はきついけれども繊細にドロンジョ様を見つめている。
今回の戯曲を読んだら、お芝居には出てこなかったけれど、友部さんも転校した先でいじめられる側になっていた。
大人になっても、こんなはずではなかった。違う自分、違う世界、変わりたい、変えたい。あの頃は良かった。
皆、何処かに持っている気持ち。それに囚われてしまうのが誘拐されること、と言うことかな。
わあ、我ながら陳腐な解釈だ…
いやいや、事実は存在しない、解釈があるだけ、なのだから、自分の好きなように思えば良い。
ま、鴻上さんに違うと言われたら聞くけどね 笑
とりあえず、劇場に通うのも、役者さんにドキドキさせられるのも、一種の誘拐には違いない。
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