ピルグリム2019(ネタバレあり)

虚構の劇団 第14回公演

 

シアターサンモール(東京)
近鉄アート館(大阪)
あかがねミュージアム(愛媛県 新居浜)

 

2/22夜、3/10昼、3/17昼、3/24昼 他(笑) 観劇

 

 

作・演出:鴻上尚史

 

キャスト:
六本木ミノル:渡辺芳博
直太郎:秋元龍太朗
朝霧悦子/ラブミードゥ:小野川晶

 

マッドサイエンティスト:三上陽永
鈴木文華/タンジェリンドリーム:小沢道成
浦川/ウララ/テンクチャー:森田ひかり
ハラ/ハラハラ:梅津瑞樹
キョーヘイ:金本大樹

 

ムーンライトビリーバー:溝畑 藍

 

黒マント:伊藤今人(梅棒/ゲキバカ)

 

シンシア 他:吉原桃香
オアシス,アジールの住人その他:那須康史 山越大輔

 

 

アンサンブル:石田彩乃, 坂本健, 辻捺々,

 

 

 

 

大千穐楽も終わってから書いている。

 

 

良かった。
未だに油断すると気持ちを引っ張られそうになる。鳩尾辺りがおかしくなる。
まさに「軋む」ので、いい加減ちと困る・・・

 

そのくせ、話を解釈しようとすると未だに何だかよくわからない。掴めない。自分の中でも上手く落ち着かない。

 

部分、部分では琴線に触れる、とても引き寄せられる言葉、シーンがあり、そして、どのキャラもそれぞれに鮮やかに魅力的で惹き付けられた。

 

大体、今、居る場所(土地、家族、集団、社会 とにかく自分が居る処)に違和感や幻滅を覚えてここではない何処かを求める話を始められたら、私のように確固たる自分を持たないくせに妙にプライドは高くて、精神的に常にウロウロしているような奴は引っ張られますよ、そりゃ(・・;)

 

私にとっては、綺麗だ!と惹き付けられて、もっと良く見ようと見つめ過ぎるとかえって見えなくなる星みたいなお芝居だったかも。

 

ま、私はただの観客なので好きだと思えるものが観られればそれで良いのだけれど。
それでも感想を書こうとすると考えてしまう訳で・・・

 

 

 

ものすごく表面的に捉えれば、

 

自分達で勝手に神格化した若い作家の元に集まったはみ出し者達が共同体を作るが、人間関係が上手く行かずに失敗。一人の犠牲者を出したことを気に病み、共同体を抜けた作家が、スランプの果てに当時のことをモチーフに小説を書き出し、自らその妄想に取り込まれ、自殺を図った。

 

 

 

 

・・・・・・・・違う。

 

 

 

そう言うことじゃない!
と、四方八方から抗議の声が飛んできそうだ(^_^;)

 

 

 

違う。
と私自身が思う。

 

 

 

でも、一面から見ればあながち間違ってるとも言えないと思う。

 

 

それがどうしてあんなキラキラしながら鳩尾辺りをヒュッとさせるようなお芝居になるのか・・・謎だ・・・

 

 

あの世界は六本木先生が創り出したもので、それぞれのキャラには先生の想いの何かが反映されているはずで・・・

 

そもそもこれは鴻上さんが創り出した世界で・・・と取り留めなく考えてしまうので、一旦、止め(^_^;)

 

 

 

内容について書こうと思うと思考が錯綜して四方八方に飛ぶので、とりあえずキャラ、役者さん達。

 

(どう考えてもやみくもに長くなるな、これ。と言うより、すでに長い(-_-;))

 

 

皆様、素敵だった。

 

 

天草四郎からガラッと変わった(笑) 秋元さんの直ちゃんは、諦観したような六本木先生に果敢に絡み、潔く弾けていて可愛かったし、カイに呼び掛けるシーンは切なかった。彼は隠していることはあるけど、水晶に映しても、多分、一人な気がする。
先生に跳び蹴りする所は流石だった 笑
(なお、個人的には直ちゃんが「カイ!」と呼び掛ける度に、何故か一代前の直ちゃん:山本耕史さんがカイとして浮かんでしまってた 笑)

 

 

その六本木先生は予想通り渡辺さん。これまでも落ち着いた達観、諦観したような役が多くて誰かを迷いながら見捨てるようには思い難いので、最初、個人的にはちと違和感も感じたのだけれど、すぐに消えた。特に大千穐楽、ようやく上手になり(ずっと下手だった)、クライマックスのお顔がまともに見えて、こんな表情してたんだ・・・と、一気に泣かされそうになった。

 

 

編集者の朝霧さん、晶さん。観る度にお綺麗になるのに、線が細い感じが全然しない 笑
アグレッシブで弱さを感じない訳ではないのだけれどたくましい朝霧さん、素敵だった。
そして、ラブミードゥ。あの羽の動かし方に惚れました! 笑
あの姿で切なくなるのだから恐ろしい。(ま、これは晶さんだけでなく、周りの方々も込みでだけど。)

 

 

黒マント、今人さん。穏やかなのだが独特の雰囲気があって、黒マントの異質性と合っている気がした。
でも、私にとって、黒マントも掴めそうで全然掴めない存在だ。生け贄そのもの・・・うーむ。

 

 

 

ここではない何処かを求める旅人達。
彼らのやり取りが楽しいわ、可笑しいわ、可愛いわ、そしてふいに切なくなる。観る度にそれぞれの役への馴染み方が深くなってドキドキさせられた。

 

 

 

マッドサイエンティスト、陽永さん。
オアシスを探して颯爽と明るく輝いていて、タンジェリンを心底大切にしている姿は微笑ましく(ラブミードゥやムーライトビリーバーには結構子供扱いされてた 笑) 、とても素敵だった。
だからこそ、変わっていくタンジェリンをただじっと見詰めるだけのマッドさんの言い様もない表情についつい引っ張られてしまい、この時のタンジェリンは勿論、六本木先生やそしてテンクチャーの表情も観たいのに、と、かなり悩乱をいたしました・・・
そして気がつくとマッドさんは消えている。
え?と思った。
他の旅人達にはそれなりに結末があるのに彼には何もないのか?
と考えてしまったのだが、オアシスを探していたのは彼だけだ。彼が研鑽した魂のタンジェリンの変貌と共に、六本木先生のオアシスへの希望が消えたと言うことなのかも・・・と思ったりした。

 

オアシスはどこでしょう?
大体、オアシスとは何だ?場所?それとも何かの社会?
青い鳥って訳でもなさそうだしな。
何となく常に求める先に見えるものであって、たどり着くものではないような気がする。

 

 

タンジェリンドリーム/鈴木文華、小沢さん。
初日、登場シーン、うひゃあ?! それ? それですか?!
でも、そうだよねぇ。
と内心、悶絶してました 笑

 

頬を膨らませてマッドさんとにらめっこ。
まあ、可愛い、可愛い。何だろな、この同期二人 笑

 

魂の彼女は、他者との共感力が高く、各所に現れる番人達ともすぐに繋がりを形成し、九頭竜様の孤独をも呑み込むのに、実体化した彼女は六本木先生と彼の創造物であるコミューンの理想像しか見ない、見えない。
テンクチャーを責める言い方、六本木先生にすり寄る姿がすごくパラノイア的で怖かった。
一歩間違えばとんでもなく嫌なキャラにもなりかねないのに、最後までとても魅力的だった。

 

 

 

ウララ、ひかりさん。
お姫様を自称する彼女は、ユートピア、理想郷を探す人。テンクチャー、浦川さんの見えない方の人が実体化したようなものかな?
我が儘そうに振る舞っても振る舞い切れない。でも元気に振る舞うウララは楽しかった。
そして浦川さん、テンクチャー、良かった・・・壊れかけた共同体を必死に守ろうとしている姿。あちこちの表情を見逃したくなくて大変だった。自らを刺す六本木先生を歯を食い縛るようにして凝視する所などすごくて、なかなか六本木先生に視線を移せなくて困った。
あ、那須さんと山越さんを従えて、ブルゾンさんのように微笑む姿も素敵だった 笑

 

 

 

キョーヘイ、大樹さん。
いやぁ・・・キラキラしてた。
あれだけ踊りながら台詞も綺麗で佇まいも伸びやか、理不尽な命令もまずは笑顔で聞くという奴隷族の習性みたいな感じもとても哀しく自然で、上手いなぁと思った。
彼が探していたのはアジール。封印された場所も一種のアジールと言えなくもない、のか?
鏡の洞窟に封印されて、彼はずっと何を見続けるんだろう。
(でも、薬が切れたらどうなりますかな?とチラッと思った(^_^;))

 

 

 

ハラハラ/ハラさん、梅津さん。
初日は、正直、一所懸命さが前に出てしまってぎこちなくなっているような気がして、観てるこちらがちとハラハラしたが(^_^;)、観る度に自由になっていく感じで存在感が増してた気がする。構って構ってなウザさやイタさがちゃんと可笑しさになって、恥ずかしいくらい真っ当な願望がすごく切なくて、最期よりも九頭竜様のところで泣かされた。
そもそも、生まれて第一声が「生まれてきてすみません。」・・・
(しかし、スラッと今時のイケメンな梅津さんにこの役させますかぁ、鴻上さん、と内心思った 笑)

 

 

 

ムーライトビリーバー、溝畑さん。
歌って踊って、踊りながら旅人達を人を食ったような物言いでいなして、その実、妹を救うために九頭竜様のガードを通り抜けようとしていた人。

 

って、どんな人だ?(・・;)

 

お歌も良かったし、身のこなしも鮮やかで素敵だった。旅人達がオアシス?にたどり着いたお祝い会でタンジェリンとマッドに「知りませんよ?」とニコッとするところが妙に印象に残った。
過去のことは忘れてしまう世界なのか、妹なのか? 妹なら入り口にいた彼女はどうなったんだ?

 

 

 

研修生の吉原さんはメイドのシンシアとして出てらして、重い役をさらりとこなしてらした。
那須さん、山越さんは背も高く、ご主人様役やテンクチャーのバックなどとても見栄えがして素敵だった。
お三方ともオアシスのシーンや、ダンスもそれぞれ素敵だった。

 

 

さらにアンサンブルの石田さん, 辻さん、そして坂本さん。
辻さんは、朝霧さんの後ろでパネル持って踊ってる姿がとてもキュートだった。いつもビシビシと音がしそうなくらいきっちり踊ってらして表情も楽しくて。

 

石田さんもすごく笑顔で踊ってらした。坂本さんとタイタニックやったり可愛かった 笑

 

で、その坂本さん。
ぽこぽこの坂本さんを虚構の劇団公演で観るなんて、可笑しいやら感慨深いやら・・・
勿論嬉しかったのだが複雑な気分にもなった(^_^;)
ダンス、ご主人様役、その他いろいろ、出てらっしゃる度につい目で追ってしまい、慌ててメインのお芝居に気を戻したりしてました 笑

 

 

以上で、一旦終了。
徐々に訂正、追加していくかもしれない 笑

 


(あらすじ)

 

連載打ち切りを宣言された作家:六本木は、編集者:朝霧から「ディストピア小説を。」と提案されたこともあってか、最後の小説にするつもりで、かつてのコミューン仲間:鈴木文華(押し掛け居候の直太郎は彼女の名を聞いて顔色を変える)の文章「黒マントの思い出」をモチーフとした長編小説を書き始めた。

 

 

オアシスを目指す魂族のマッドサイエンティスト、ユートピアを目指す短命族ウララ、アジールを目指す奴隷族キョーヘイの三人は揉めたりしつつも何故か一緒にここではない場所に向かって旅していた。

 

突然、黒マントの男が現れ、答えられない問題を出し、ユートピアもアジールも無いと言い捨てて去っていく。

 

三人が唖然としていると、マッドがずっと引いていた棺が開き、タンジェリンドリームが現れる。かつては実体をもっていたらしいタンジェリンは、ボロボロの状態で山中にいたところでマッドに見出だされ、魂としての研鑽を積んでいたが、些細なことで棺に隠れていた。

 

宿を探す彼らの前に再び黒マントが現れ、ウララが命と引き換えに産み落としたハラハラの誕生を代金として宿を提供する。

 

 

彼らはオアシスへと続く洞窟の入口にたどり着く。入口にいたムーライトビリーバーから、入口を守る九頭竜様の怒りを静めることが出来れば入れるかも、と聞き、様々にチャレンジするが上手くいかない。最後にハラハラが命と引き換えに九頭竜様の怒りを静められたかにみえた時、

 

書き進める六本木に黒マントが話しかける。「死んじゃダメだよ。死ぬことに意味はないんだから。」

 

驚きながら六本木は書き直す。

 

ハラハラは死ななかったが、九頭竜様の怒りも静まらなかった。そこにタンジェリンが進み出て「一緒にオアシスに行きましょう。」と呼び掛け、小さくなった九頭竜を呑み込んだ。

 

 

再び、黒マントが六本木に話しかける。
「一緒に行くかい?」
引き寄せられるように歩み出す六本木。

 

 

進んだ先は鏡の洞窟。
見える自分と見えない自分の葛藤が矢となって降ってくる。
六本木も一緒になって、洞窟の案内人ラブミードゥに抜ける方法を尋ねると、「イケニエを捧げれば、一時的に葛藤が麻痺して抜けられる。」

 

イケニエなどと否定する六本木がマッドの発明薬バイバイケンオ(見える自分と見えない自分の弱い方が消え、葛藤はなくなる)の話をすると、いきなりキョーヘイがそれを飲み込み、見える方が消えていく。

 

キョーヘイはご主人様の「死ね。」の命令から同じ奴隷仲間にも裏切られ逃げてきた。
彼はイケニエになることを選び、残った旅人達は洞窟を駆け抜ける。

 

 

着いた先はオアシス?
テンクチャーをはじめとする人々がにこやかに一同を迎えるが、もてなしのご馳走を食べたタンジェリンは「この味を知っている。泣きながら作ったのか?」と問う。
笑顔のままでテンクチャーは否定する。

 

この場所を見て歩くうちに、六本木はかつてのコミューンを見て取り混乱する。
そしてタンジェリンも変貌していく。六本木を崇め、それを周りにも強要し、やがてマッドに実体化の薬を求めて実体化する。
マッドはなすすべもなく見詰めている。

 

黙ってタンジェリンの言うことを聞いていたテンクチャーだが、突然、イケニエの儀式を始めると言い出し、人々がナイフを持ってタンジェリンに襲いかかるとみせて、六本木を拘束する。
彼こそ本当のイケニエだと。

 

 

そこに黒マント、さらに直太郎が飛び込んできて六本木を守ろうとするが、彼はタンジェリンを見て驚く。「姉さん?」
その隙に皆が六本木にナイフを突き出すが、ハラハラが身代わりとなって倒れる。

 

今のうちに!と黒マントが六本木と直太郎を押し出し、気がつくと二人は六本木の部屋にいた。

 

訪ねてきた朝霧は小説がずいぶん進んでいると喜ぶが、二人は唖然としたまま。

 

 

やがて六本木は、今もコミューンを守る浦川に電話するが、彼女は、お金が出来たら連絡をとだけ言って電話を切る。

 

 

夜、黒マントが現れる。
思い乱れている直太郎と六本木が話しているところへ、浦川、いやテンクチャーが現れる。

 

 

天使の家三周年記念の会、締め括りは、鈴木文華のイケニエの儀式。
しかし、殺す/殺せないと人々が迷う間に鈴木は逃げ出し、山中で魂になった。

 

 

六本木もタンジェリン/鈴木文華も思い出した。
文華は弟:直太郎に六本木を託し、倒れた。

 

 

六本木は、テンクチャーからナイフを受け取り・・・

 

黒マントの制止も聞かずに胸に突き刺した。

 

 

六本木の意識が戻るのを願う直太郎は、行方知れずの恩人カイに呼び掛けている。

 

黒マントの声が聞こえる。
六本木は見えない世界を旅している。でもきっと帰ってくる。君がここにいるんだから。

 

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追想と積木(ネタバレあり)

劇団水中ランナー 第十回公演

八幡山ワーサルシアター

12月14日夜観劇

作・演出:堀之内良太
楽曲提供:白濵賢吾

キャスト
将一:笈川健太
千秋:中嶋アキ
隆太:足立英
理紗:江田恵
椎名:高橋玄太
洋美:上田うた
朝倉:田中愛美
上村:天野なつ子
仁:小川啓太
尾沼:堀之内良太


とても良かった。
泣かされてしまった。


過去と現在、さらに劇中劇の演技と台詞が現実にも重なる多層構造。


最初は見えなかったものが、クロスオーバーしたり繰り返したりのシーンでは見えたり感じられたりする。


うわぁ、そう来るのか、と思った。
上手いなぁ、とも、むしろ、ズルいなぁ、とも思ったりした。

ジェンガのピースと記憶のなぞらえ方も、なるほどなぁと思った。

過去と言っても7年前。

30代前半くらいの人にとっては十分昔のことに感じられるだろうけれど、外見などはまだそんなには変わらない。学生から社会人になり、家庭を持ったりもして大きく変わっていることもあるが、絶対にやり直せないとも言い切れない微妙な歳月。


ただし、その7年前は、恋、友情、可能性、夢がキラキラしていた大学時代。
一種、別次元とも思える日々。


学生時代はリーダー的な存在で皆を引っ張り、励ましてきた人が、今は病気のお子さんを抱えて無力な自分に悩んでいたりする。

いまも叶わぬ作家の夢の瀬戸際に立っている人もいる。

当時の恋心を今も秘めている人もいる。

そこに、事故でその歳月分の記憶を無くした仲間が一人。
彼にとっては7年前が今。


仲間達の今の状況について、そこまでの経緯を知っていれば遠慮したことも、寝耳に水の彼は真っ直ぐに突っ込んでくる。


そして、久しぶりに会う仲間達。
それぞれに探り合いながらも、誰もがお互いを思いやり、良かれと思うことを言ったりしたりしてくる、今でも仲間な人達。


こうして、やり取りを思い返しているとまた涙が出そうになったりする・・・


こんな学生仲間を持てた人達は幸せだと思う。


まあ、思い返してみれば、自分のサークル仲間もあんな感じだったかも知れないと思うから、やはり20代頃の仲間は特別なのかも知れない。
(うちも同期で二組、サークル内で結婚して、そのうち一組に 今は元気だがなかなか大変な病気のお子さんもいたので、ちとぎょっとしたし身につまされた・・・)


役者さんに年齢はあまり関係ないと思っているけれど、等身大と言う言葉が似合う見た目と雰囲気の役者さん達が演じてらっしゃるので、尚更、迫ってきたような気がする。


このお話では、どちらかと言うと、現実と責任の重さを独りで背負いこもうとし過ぎて迷える男性陣、地に足をつけて踏ん張り、前を向こうとしている女性陣、と言う感じに見えたけれど、役者さん、皆様、それぞれに思い入れしてしまいそうになるキャラを体現されていて、素敵だった。


ぽこぽこクラブの玄太さんがご出演なので観に行ったのだが、玄太さんは、このサークル仲間のために書いた脚本をきっかけに本気で作家を目指し始めて、まだ芽が出ていない椎名さん。
学生当時は、サークルの中心的な将一さんの、冷静な参謀と言うところだったのかな。
今は、当時の彼女(洋美さん)とも別れていて、思うようにいかない現実の苦さを噛み締めている感じ。
皆の前では強がりもあるのだろうけれど、努めて冷静さを保つ姿、切なくて良かった。
サンタクロースのお話の中で、洋美さんの言葉を聞く表情にズキッとさせられた。


それから、劇団チョコレートケーキで、純粋な若者が様々な経験を経て変わっていく直前辺りまでを異なる舞台で二回観ていた足立さんもご出演で、内心、おおっと思った。
記憶喪失になった隆太さん。
彼だって、サークル仲間ではない彼女(理紗さん)が今はいて、それなりに変わってもいたのだろうけれど、記憶を失った今は真っ直ぐな大学生そのまま、危ういくらいで、記憶が突然戻って、直前の記憶と重なったらどうなるんだろう?と心配になるくらいだった。


それにしても、元々は入院している隆太さんのお母さんを励ますためにやることになったお芝居と言う劇中劇、名ばかりの演劇サークルにしては素敵過ぎる ・・・


以下、私の目から観たあらすじ。


事故で大学以降の記憶を失った隆太のために、名ばかりの演劇サークルの仲間達が久しぶりに集まる。
あまりにも以前通りの部室に皆、驚く。

隆太の記憶を戻すきっかけになれば、と集まったのだが、あの頃を思い出し、仲間達に会うことで、それぞれ自らを省みることになる。


サークルのリーダー的な存在だった将一は付き合っていたサークルのマドンナ千秋と結婚したが、子供が重い病気で悩んでいる。

作家志望の椎名は学生時代に付き合っていた洋美とは数年前に別れ、作家としてはいまだ芽が出ていない。

その洋美はジュエリーデザイナーとして進んでおり、隆太に紹介された男性ともうすぐ結婚する予定。

学生時代、隆太と両思いのはずなのに付き合うに至らなかった朝倉は今も隆太が好きだが、隆太には理紗という恋人がいる。
とは言え、今の隆太は理紗の記憶がなく、事実として認識しているだけ。気持ちは大学の頃に戻っている。


サークルをキャッキャと盛り上げていた上村と仁は結婚したが、仁がキャバクラに行って揉めたりもしている。

当時二留していた尾沼は、ずっとここにいる、と宣言していた通り、大学の警備員として大学にいる。部室の再現は尾沼の仕業。


部室にはジェンガがたくさんあり、尾沼は、よくジェンガのピースを記憶になぞらえ、抜き取ったピースを上に積み上げるのは正しいのか?元に戻すのが正しいのか?と言う話をしていた。


名ばかりの演劇サークルではあったが、一度だけ芝居をしたことがある。
隆太の入院していた母親を励ますために、椎名が書いた脚本で皆で演じた。
主演は隆太だったが、直前に母親の容態が急変したので、急遽、将一がやった。
プレゼントを配り終えたサンタクロースが、お礼を言うためにトナカイを探す話。
サンタがプレゼントを贈った皆が手伝う。サンタのプレゼントは、モノだけではなく、感謝を伝える機会、別れを告げる機会、告白の機会・・・
サンタクロースも、これまで一緒にたくさん運んでくれたトナカイにお礼を伝えて、これからは自分があちこちに連れていってあげたい、守りたいと思っている。


それぞれが過去と現在と向き合いながら、しばらく過ごしたが、隆太の記憶はまだ戻らない。
でも、戻らなくても、私が聞いた話を話してあげる、と言う理紗と一緒にいる。


最後にあのお芝居をもう一度観たい、と言う隆太の希望で、もう一度演じることになった。

サンタクロースの将一は、現れた千秋に、これから自分が必ず守る、と伝える。

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四獣×玉造小劇店配給芝居『ワンダーガーデン』(ネタバレあり)

北海道10/26~10/31:ターミナルプラザことにパトス

大阪11/9~11/11:心斎橋 ウィングフィールド
東京11/13~11/18:下北沢 シアター711


大阪と東京で観劇

作・演出:わかぎゑふ

キャスト:
相川千草(長女)/毛利修平(桜の見合い相手、葉月の夫):桂憲一
相川薫子(次女)/石巻竜司(葉月の元彼、桜の夫):八代進一
相川葉月(三女)/大村洋次郎(飛行機好きの子爵、薫子の恋人):大井靖彦
杉山桜(千草の夫の末妹)/杉山孝明(帝国海軍将校、千草の夫):植本純米

文栄華(薫子の台湾の文通相手):大井靖彦 or ゲスト
11月
9(金) 10(土)夜 うえだひろし
10(土)昼 11(日) 野田晋市

13(火) 笠原浩夫
14(水) 原川浩明
15(木)昼 大井靖彦
夜 木村靖司
16(金) 山本芳樹
17(土)昼夜 曽世海司
18(日) 大井靖彦


時は、明治から大正に変わろうという年から昭和の初めの頃まで。
美しい薔薇が咲き乱れる庭が自慢の屋敷に住まう三姉妹。長女の結婚相手の末の妹を加えて四姉妹となった彼女らは折に触れてこの庭に集う。
彼女らとその夫、恋人らが織り成す20年間の物語。




うーむ、入れ替えしないでまともにやったら、朝の連続ドラマにもなりそうだな。


初演は2009年、役を総入れ替えした再演が2012年にあって、今回は初演の配役での久しぶりの再々演。


再演版も大好きだが、初演のインパクトは凄かった。
その時と同じ配役(文栄華さんを除く)という事で、とても楽しみだった。


良かった。面白かった。
笑って泣かされた。


もう、何なのだろうな、四獣の皆様は。

合計で200歳(51歳二人、49歳二人)の男性が、10代の少女から実年齢に近い男性まで、性別、年齢、時を軽やかに飛び越えて創り出す世界。

舞台は庭の見えるサンルーム。
セットは、木々の絵が書かれた窓、透ける緑色のカーテン、隅にラジオ、中央にテーブルと数脚の椅子、のシンプルなもの。

衣装は一応変えるものの、メイクや鬘などはなし。
見た目は実年齢の男性のままだが、仕草、表情、言葉遣い、それぞれが可愛らしい女性にちゃんと見える。
そして、もちろん男性の時はそれぞれに魅力的な男性になる。

しかも、それがクルクルと入れ替わる。あっという間に。
この入れ替わりがホントに見事でクラクラした。
観ているうちにだんだん感覚が狂ってきて、8人いるような気になってしまう。4人全員舞台にいるのに誰かいないと思いそうになったりした(・・;)


初めて自分の思いを吐露した大村子爵が事故で亡くなったあと、これでしばらく大井さん時間あるな、なんて思いそうになるのだが、すぐに元気な葉月さんが出て来て、あ、そうか、と思う (^_^;)
子爵に伴われて、お姫様のように捌けていった薫子さんは、ちと斜めな小物感たっぷりの石巻さんになって出てくるし 笑

ああ、三姉妹のおじ上の葬儀の際には、毛利さんに叩き出されたチャラい石巻さんが、あっという間にしっかりもののルコさんになって戻ってきたな。
で、葉月さんをうっとりさせて去った毛利さんは、すぐに孝さまに従順そのものの千草さんになって出てくるし、もう、見てるものと見えるものと先ほどの余韻がごっちゃになって、笑えば良いのか感心すれば良いのか、頭の中は心地よくぐちゃぐちゃ・・・ 笑


脚本、演出、役者さん、全て揃ってのこの舞台だと思う。

初演でも思ったが、演出のわかぎさん、役者さん達の特性?も、それを観る客(特に女性客)のツボも心得きってる感じがする。そして、役者さん達もそれにしっかり応えていて、結果、客であるこちらは感情を翻弄されまくりである 笑


主役の?四姉妹は、
真面目で純情で夫に従順な妻となる千草さん。
しっかりしているがどこかロマンチストで子爵と恋に落ちる薫子さん。
乙女チックな少女時代を経てたくましく俗世を生きる葉月さん。
世間知らずな少女時代から見違えるように意思の強い社会改革運動家になる桜さん。


それぞれの相手役のキャラ設定とかもねぇ 笑

ひたすら真面目で世事に疎く堅物だが根は優しい杉山少尉。
おおらかで意外に腕っぷしも強く女性あしらいも上手い毛利さん。
自意識過剰でチャラくて女たらしな石巻さん。
気品と優雅さとちと寂しげな影も漂う大村子爵。

何かの恋愛ゲームキャラですか? 笑


そこに、四獣の皆様が培った絆と言うかお互いを知り尽くした仲が醸し出す雰囲気、基本線は外さない範囲で伸びやかに遊ぶ? 、いや、舞台の可能性を追求する? 様がとても楽しかった。



この後は、役者さん毎の感想。


桂さん:
千草さん、まあ、かわいい、かわいい。
見た目はあれだけど 笑、孝さまに「杉山夫婦生活規律案」を突き付けられて、"夫婦"の文字に照れて下を向いてしまったり、褒められるとすごく嬉しそうだったり、何でも少尉の真似をしようとしたり・・・そりゃ、少尉も可愛く思っちゃうでしょうよ 笑
無茶苦茶真面目で、花を食べようとする孝さまを見つめる真剣そのもののお顔も好きだった。孝さまの困ったお顔とセットですごく可笑しい 笑
でも、さすがに旅順に行く頃になると夫の扱い方も心得てきた感じで結構上手く操ってるのかもと思わせる。
そうそう、規律を破って来た際は、踊りながら、ルコさん八代さんに散々いじめられてた 笑

毛利さんはねぇ 笑
もう最初から、はいはい、カッコいい、カッコいい、と言う感じ 笑
三つ揃いも隆として、世事にも長けて、商売の才もあれば腕っぷしも強く、女性の扱いも手慣れたもの。「虫のつかない花には魅力がありません。ね!」って貴方・・・笑
そのくせ、結婚したら葉月さんにメロメロで良いお父さん。あ~ぁ、良い人ですねぇ 笑
にゅるんとお金を出すとこ 笑 とか、暗号読むとことか、わざと千草さんの衣装を半分見せながら毛利さんやってる時のグダグタなやり取りとかは四獣の醍醐味? 笑


八代さん:
薫子さん、しっかりもので肝の座った、若草物語ではジョータイプの女性だけど、華やかなドレスも好きだし、大村子爵とのやり取りには華族への乙女らしい憧れも感じられて実はなかなかなロマンチスト。
なのが、すんなり飲み込めてしまう八代さんのルコさま。
桜さんとの女子なキャッキャしたやり取りも、杉山少佐(だよな、あの時は)との大人なやり取りも、植本さんとの絶妙なコンビネーションで良かった。
千草お姉さまをいじめるところは楽しそうだった 笑
で、大村子爵とのやり取りはもうズルいよなぁ。いきなり突飛ばしたりする男っぽさとお姫様のような可憐さがクルクルと入れ替わる。ふたりで飛行機に向かうシーンはマジでお姫様に見えた。

ラストの文栄華さんとのやり取りは、どの方との場合もそれぞれに素敵だった。

で、石巻さん
まあ、チャラい。可笑しい。エロい? 笑
見た目がなかなかにおよろしくて根は悪い訳ではないので、なおさら始末が悪い類いのダメ男 笑
で、こちらもまた大井さん葉月さん、植本さん桜さんとのやり取りをとても楽しそうに演じてらして、観ているこちらも楽しかった 笑


大井さん:
葉月さんは、まあ、9年の歳月をものともしない可愛らしさ(@_@)
距離ほぼゼロの最前列で見ても仕草もお顔もとにかく可愛い。
石巻さんに「およしになって。」と言う時の嫌そうな顔も「毛利さんと?!」と恥じらう笑顔もどちらもキレイ。
すでに物の怪レベル・・・。
肖像画の付いたランプシェードを出す辺りの雰囲気は若い娘ではないのだけれど、やはりキレイな若く見える奥さんだと思う。

そして大村子爵。
こちらも素敵だった。
ちと常識はずれなところも含めて、高貴で優雅な雰囲気。
白薔薇にウインクする姿も麗しく、箱を持ち上げられなくて焦る姿は可愛くて 笑、薫子さんに心情を吐露するシーンでは毎回泣かされてしまった。
キスしようとして椅子に昇るって、あの演出はさすがです 笑
そうそう、子爵が「葉月さんは綺麗だから。」でルコさんな八代さんがまじまじと大井さんのお顔を見るのも楽しかった 笑

文栄華さんの時も素敵だった。本当に誠実さが感じられる方で、こうして思い返していても涙が出そうになる。(実は、個人的には、大井さんの時だけは薫子さんが文栄華さんのお顔を見て一瞬驚いて欲しかった。大村子爵に似てると言う設定が欲しかったのです。)


しかし、やはり大村子爵って「ルドルフ ザ ラストキス」のルドルフと重なる。薫子さんへの気持ちは本物でそれは素敵だと思うけれど、奥様の身になるとたまったものではない・・・
しかも、真の恋人と二人で飛行機に乗っていて亡くなるなんて・・・罪作りな人だ(-_-;)


植本さん:
桜さん。もうねぇ、あのルックスで最初の16歳が真面目に可愛いのである。なんだろな、ホントに。
そして時が経つにつれて、どんどん意思の強い主張のはっきりした女性に成長していくのが出てくる度にわかる。さすがである。
サンルームでのインタビューの時の雰囲気はまさに"女優"!! あのお帽子での雰囲気はオードリー・ヘップバーンのようだった。
八代さんの石巻さんともホントにお仲が良くてお争い・・・ 笑

そしてお兄様の杉山少尉 笑
何事にも真面目、自分の気持ちにも真面目なので、婚約者、千草さんへの気持ちも隠さない。
呼び名について滔々と語るシーン、ああいう風に長台詞を語る人に弱い私は千草さん同様聞き惚れていたが、112案、全てあの調子で説明されたら大変だ 笑
亭主関白だけれど、あれは千草さんがああだからで、千草さんが主張するようになったら聞いてくれる人だよね。薫子さんの意見も採用してたし。
世事には疎いが、誠実だし、根は優しいし、この方ももてると思う。
軍服姿もなかなかカッコ良かったのだが、最後の頃、桜さんに将棋で負けると頭に血が上ったのか、内心気に入らないらしい妹の夫(石巻さん)をほぼ意味もなく殴るし(^_^;)、桜さんの衣装の上に軍服羽織って出てくるし、もうあの辺の訳のわからなさがすごいと言うか何と言うか・・・ 笑




ゲストの皆様は、それぞれに味わい深い文栄華さんで、拝見した皆様、素敵だった。




それにしても、あの方々のその先の10年、20年はどうなるのだろうと思ってしまう。

旅順の杉山一家は、多分、家族のことは早く逃がすだろうけれど、杉山少佐は息子と共に日本人全てが逃げるまではと満州で戦いそうな気もしてしまうし、桜さん達は特高警察に狙われそうだし・・・
ま、毛利さん達はうまく立ち回りそうな気はするが桜さん達のことは守ろうとするだろうしなぁ。
薫子さんと文栄華さんもどうなることか・・・


玉造小劇店の満州三部作とも繋がりそうだ。

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アオモリ演劇祭「ぽこフェス2018 in 青森」(ネタバレあり)

ぽこフェス2018 in 青森
トンネル抜ければVIVAどんだば


渡辺源四郎商店しんまち本店2階稽古場

11月16日夜(初日)観劇


演出:ミカミ ヨウエイ


「初めまして、山田です。」
作:杉浦一輝
キャスト:(すみません、名前を覚えてない(-_-;))
部屋の住人の元彼:高橋玄太
部屋の住人のストーカー(山田):渡辺芳博
部屋の住人(ミサ、かな):夏井澪菜(渡辺源四郎商店)
*もう1人出てらした。


「己のようなヤギつれて」
作:渡辺芳博
キャスト:(すみません、名前を覚えてない、その2(-_-;))
外国人労働者1(ハマル、かな):坂本健
外国人労働者2:杉浦一輝
ヤギ(ヤギヤマト):高橋玄太


「愛しの電気釜」
作:渡辺芳博
キャスト:
スズキ(カッパ):三上晴佳(渡辺源四郎商店)
サトウ(スズキの元夫):渡辺芳博
社長(スズキの妹):松野えりか(渡辺源四郎商店)
タナカ:三上陽永


ぽこぽこクラブ初地方公演!
なべげんの女優さん達とのコラボで、再演2つ、新作1つ。


私は「愛しの電気釜」がとても好きで、それをぽこぽこ初地方公演、しかも青森でやると聞いて、つい観ることにしてしまった。
一回だけ観るのに初日はちとリスキーだなとは思ったが、日程の都合上、初日のみ。


うん、観に来て良かったです。

正直、まだ初日だな・・・と思ってしまったところもあるけれど、やはりぽこぽこの皆様のお芝居には引き寄せられる。
かなり変な、妙な、訳のわからない (^_^;) シーンも多いのだが、なんだろ? 観てると何かが真っ直ぐ向かってくる気がする。

そして、なべげんの女優さん達は、いやー、魅力的だ。
潔いし、キュートだし、迫力あるし。


そして、初日乾杯の後、照明の坂本さんのライヴまで拝聴することが出来た。

さらに動画インタビューの場面まで拝見出来て、たっぷりと堪能させて頂いた。
(ありがとうございました!)


さて、個別に感想。


「初めまして、山田です。」

振られて彼女を殺しに来た男が、彼女をずっとストーカーしていた男と鉢合わせする話。
ストーカー男は、三年以上、彼女に気づかれないように彼女のゴミの分別をしたり、痴漢から守ってきたりしてきた。しかし、彼女があまりにたくさん男を振るため、その振る苦しみから解放しようと殺しにきたのだった。
すったもんだの末、共同で殺そうと話がまとまった時に、彼女からやり直したいとのLINEが来てまたゴタゴタ。ストーカー男にも彼女への承認欲求があることに気づいたところに彼女が帰ってくる。
男はストーカー男に名乗らせる。



あらすじ書くととんでもないな(^_^;)
でも、相当笑えて、しかもその気になるとちと考えさせられてしまう。

拗らせまくったストーカーの渡辺さんは、動きも理屈も?キレキレで、観ていてどうしようかと思う。マジで、C3POか何かですか? 笑
まあ、そうすることで自分を守ってる人なんだろうけど。

対する玄太さんは、こちらも思い込んだら一直線、一種の困った純情青年?
普通の理屈が通じないストーカー相手に頑張る姿はつい同情したくなるけど、一歩間違うと同類かも、という感じがして良いな(良くないけど)と思う。
穏やかな玄太さんは素敵だが、こういうちと暗い不器用な青年も似合う。(あ、タナカさんをやっても合うと思う。)

で、彼女を演じる夏井さんは、山田さんの回想中の姿はあくまでフワフワと可愛らしく、男どもを凪ぎ払う姿はカッコ良かった?が、帰宅する姿はしごく真っ当、素敵でした。

以前のぽこフェスより広い舞台で、基本、お二人が動き回るのだけれど、動く戸板?(木製パーテーションと言えば良いのか?)の使い方も面白かった。壁が近づいてくる所、好き 笑

ただ、ラストの山田さんに名乗らせるところ、初演の時は、ある意味同志な?山田さんを思いやって、な感じに見えたのだが(彼女も元彼が忍び込んでいたことはすぐに許しそうだったし)、今回は部屋に包丁を持って居たことへの言い訳の雰囲気がちと強いように見えてしまった。
ま、これは初日だからかも知れないな。


「己のようなヤギつれて」

農園から逃げ出した外国人労働者の青年二人が墓地(霊園)で落ち合い、一緒に今後の相談をするはずが、先に逃げた1人が研究材料のヤギを連れてきてしまったことがわかり、結局、先の1人はヤギを返しに農園に戻ることにし、もう1人は母国を目指して別れていく。


新作。
何だかものすごくタイムリーな題材で驚いた。

あらすじにすると、ふーん、と言う感じになってしまうけど、まずは青年二人のうだうだした会話がすごく可笑しい 笑

二人とも何かあやしい日本語で、大体わかるけど時々??となる。ちょっとMONOのデタラメ方言で喋っているような感じ。あれ、やってる方々は大変だろうと思う(・・;)
どうも浮き世離れしていて逃げられたことが嬉しくてワクワクしている坂本さんの青年、真面目で現実的で母国に帰りたい一輝さんの青年。

ものすごく主観的な地図を渡されてたどり着くのに無茶苦茶苦労したらしい一輝さんの人がカリカリ怒ってるんだけど、のほほんとしている坂本さんの人にはなかなか通じなくて、噛み合ってるんだか噛み合ってないんだかな会話が続く。


それだけでもかなり不条理な感じで可笑しいのに、唐突に"山羊"が出てくる(一輝さん1人の時にすでに一度出てくるけど) ・・・

白い衣装で白塗りした玄太さん 笑

でも、もろに山羊、ヤギ。

引っ張られて踏ん張るところとか、本当にヤギに見えた(@_@)
目の前でお尻フリフリされた時は可笑しいやら、可愛いやら・・・困った 笑

で、懐かしの"風太君"よろしく二本足で立つんだ、これが 笑

個人的には、そこまでにかなり傾いだ世界のような印象を受けていたので、さらに奇妙なことが起こるのかと思ってしまったのだが、そう言うことではなくて、これで彼が特別なヤギであることがわかるのであった。

可笑しいと書いたけれど(実際、客いじりも含めて可笑しいんだけど)、根底は相当にシニカル。

農園での扱いに耐えかねて逃げ出した二人である。しかも、坂本さんの人の方は職業訓練などで来日した訳ではなく、日本育ちで本当の名前もなく半ば農園に売られた?ような人だ。

一方、研究対象であるヤギはフルネームがあるだけではなく住民登録までされている。
彼らが逃げてもさして気にされないが、ヤギヤマトがいなくなったら大騒ぎだ。


ラスト、ヤギは自ら何処かに向かい、それを眺める青年は「お前は帰る場所があるんだ・・・」と呟く。


なんかね、見ようによっては、坂本さんの人はもうこの世にいない、みたいにも見えた。
一輝さんの人は、同じ道に引き込まれそうになったけど、ヤギのお陰で辛うじて違う方に歩き出した、なんてことも考えられる。

あのヤギ君はなんだ?

その気になるといろいろ深読み出来てしまうお芝居だった。



「愛しの電気釜」

"河童"が来るという家事代行サービスを頼んだ明るい青年タナカは、もろに河童の格好をしてテンション高めのスズキさんが来て大喜び。掃除をするスズキさんにいろいろ質問するが、あまりに真面目に河童なスズキさんに、もっと気楽にと甲羅を取るように勧めて甲羅に手をかけると、スズキさんがパニックを起こし、送迎担当のサトウが飛び込んでくる。
タナカが謝り、スズキさんは仕事を続けることになる。これは珍しいことらしくて(大抵はそこで終了)、やがて心配した社長もやってくる。
実は、このサービス会社の3人は福島原発事故の被害者でさらにサトウは事故を起こした電力会社社員。それが原因で妻だったスズキがこうなった。社長はスズキの妹。
サトウは楽しそうに働くスズキの姿に望みを託しているが、社長は「こんな姉の姿は見たくない、むしろ死んだ方がまし。」とまで言ってしまうが、タナカが必死に否定する。「大切な人でしょう。死んだらお仕舞いです。」
知らないくせに口を挟むなと言い争う3人に、わかっているのかわかっていないのか、スズキがタナカから教わった言葉を口にする。
「頑張れ、頑張れ、頑張れ。君が頑張らないと僕が頑張らなくてはならなくなる。頑張るな、頑張るな、頑張るな。君が頑張ると僕まで頑張らなくてはならなくなる。」

やがて、スズキが仕事として研いでセットした米が炊けた音がする。

タナカは3人を食事に誘う。

「久しぶりだ。」と嬉しそうに箸を並べるタナカ。
「実家では箸を並べるのが僕の役目だったんたです。」
「実家はどちら?」
「皆さんより少し北の方です。」



初演はこの台詞で鳩尾辺りがひゅっとなって涙腺崩壊であった・・・

今回は冒頭で卓袱台がひっくり返り、畳も乱れている状態を眺めているタナカさんの姿から始まるので、ラストの言葉がよりわかりやすくなっていたかも。
(ただ、おそろしいことに、"福島の少し北" と言う言葉の重さが、初演の時よりも、今の時代、すでにやや遠くなってる気がした・・・)
知ってるこちらは、畳を直し、卓袱台を置き直すタナカさんの姿にすでに泣かされそうになったけど、そこはただの舞台転換に見えなくもないような感じで照明が明るくなり、チャイムがなると一気におちゃらけた元気なタナカさん、そしてドアを開けると、もろに河童なスズキさん・・・(^_^;)
タナカさん、ドアを閉めてしまい、3度見?してたぞ 笑


初演の都倉さんのスズキさん、すごく良かったが、今回の三上さんのスズキさんもさすがだった。
初日でお芝居の全体的な流れが万全ではなかったようにも思うけれど、スズキさん、キュートで真摯だった。
初演のひかりさんの社長の張り詰めた雰囲気、良かったが、松野さんの社長もとても迫力があって良かった。

ヤマダさんとは打って変わった渡辺さんのサトウさんは、ひたすら耐えている雰囲気が何とも言えない気分にさせられる。
かっこうの怒りの矛先として感情をぶつけてくる元義妹、ニコニコと異なる世界に住まう元妻、ご本人だって本当は時には感情を吐き出したいだろうに。


そして「死んだらダメです。」(台詞通りにあらず、ちゃんと覚えられない(-_-;))と二人を必死に見つめる陽永さんのタナカさんの表情にはやはり胸を衝かれてしまうのだよなぁ。

ただ、今回は初演でやってた卓袱台毎動いてそれを精神的な盾にする演出はなくなっていて、タナカさんはもう少しまともに相手に向かっていた。そして負けてた気がする。
でもその分、ピエロになる、という台詞が印象に残った。


実は、途中の、スズキさんが戸板を押すシーンとか、感性のトロい私にはまだ上手く飲み込めないところもあって、やはり二回くらいは観たかったなと思ってしまった。
いつかまた再演してください・・・

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無謀漫遊記ー助さん格さんの俺たち明日はないー(ネタバレあり)

幻冬舎Presents 第3弾
劇団扉座第63回公演
紀伊國屋ホール

11/4夜、11/9夜観劇


作・演出:横内謙介
キャスト:
助さん:六角精児
格さん:犬飼淳治
水戸黄門(宇さ喜):伴美奈子

大寅かぶと:岡森諦
都:砂田桃子
佐野:有馬自由
おツネ:中原三千代

トメ・弥七:上原健太
カン太:野田翔太
ケースケ:早川佳祐
ショータ:白金翔太
レン:小川蓮
マサ:紺崎真紀
ダイ:山川大貴

お松:江原由夏
おたき:小笠原彩
お千代:菊地歩
お玉:北村由海

大友久之助:松原海児
薮田七郎兵衛:西村陽一

伊勢屋育右衞門:三浦修平
アカネ:塩屋愛実
ミサキ:藤田直美

峠の茶屋のおよし:大浦雛乃
芸子の鯉奴:梅澤貴理子
女中のタネ:佐々木このみ

隠れキリシタン:
生田由明乃・大森未来・岡宏明・翁長志樹・林智和・日高孝子・山口茜・山中博志



面白かった!
つかさんのお芝居に影響されて演劇の道に入った横内さんが、つかさんへのリスペクトを全面に押し出した扉座のお芝居第3弾。


とにかく第1弾の「つか版 忠臣蔵」が大好きで、あれは是非またやって頂きたいのだけれど、今回のもとても良かった!面白かった!泣かされた!


今回は横内さんオリジナルで、題材は水戸黄門なのだが、もう本当につかさん芝居への愛が溢れまくってる感じ 笑

ダンスあり、殺陣あり、学生闘争?あり、時事ネタあり。バイオレンスもエロもあるな 笑


そして、何より、立て板に土砂降り?状態の滔々と捲し立てられる長台詞!


私はこれに弱いのである。


あれだけの膨大な台詞を淀みなく捲し立てる。何を言ってるのかさっぱりわからない時もあるけれど(^_^;)、とにかく圧倒される。
役者さん達、皆様、すごい。


夢について語る時の犬飼格さんとか、本当にカッコいい。あそこだけで本当に格さんに付いていきそうになる 笑
インテリ革命家な有馬さんは知的な言い回しで素敵だし、敵役:伊勢屋三浦さんは、冒頭のMCは派手に、そして劇中では高飛車な雰囲気を漂わせて素敵だ。
六角助さんももちろん長台詞はあるし良いのだけれど、あれだけ良い台詞をあんな風に胡散臭げに言えるのもすごいよね 笑


でも、やはり今回、一番カッコいい!と思ってしまったのは大寅かぶと、岡森さん。
忠臣蔵の近松さんの長台詞もとてもカッコ良かったが、今回は逆境から這い上がりそれでもなお差別されながら、手下?家族?達を守りながら闘う。
膨大な台詞の上に殺陣!


殺陣も私が大好きなモノの一つで、これも犬飼さんの殺陣などとても好きなのだが、今回は格さんとかぶとさんの殺陣があった!


倒れるかぶとさんを格さんが煽り、何度も何度も立ち上がるかぶとさん。
迫力はもちろん、照明も音響も降りしきる銀の紙吹雪もキラキラととても叙情的で泣かされてしまった。

(ただ、頭の片隅で真面目に、岡森さん、大丈夫ですか?とも思ったけど(・・;))


そのかぶとさんを慕う組員達にも散々泣かされた。

黄門タウン構想でそれぞれの夢を語るシーン(無茶苦茶な夢なんだけど)、悪者の部下として格さんや弥七と闘うことになって、もちろん敵わないのだがわずかでも彼らに立ち向かえたと喜ぶ姿、等々、こうして思い出しても涙が出てくる。
皆様、それぞれ一所懸命でキラキラしていて素敵だった。
都さんの一所懸命さも一途さも良かった。


そうそう、代官の大友さん松原さんは単に世間知らずのお坊ちゃん代官で嫌味がなくて良かったし、薮田さん西村さんの堅物振りも偽弥七としての殺陣も素敵だった。

伊勢屋さん秘書のお二人はいかにもな感じで色っぽいし、宇さ喜さんは何気なくお銀さんみたいだった 笑



最後は水戸黄門そのもので、「控えおろう~」でかぶとさん達は捕まり、でも、かぶとさんの娘の都さんがあとを継いで事業は続けると言うハッピーエンド。

そのシーンが大好きなかぶとさんや組員達は、掴まりながら喜びに感涙していると言う展開。

で、すぐにエンディングの華やかなダンス。
これも素敵だった。お疲れだろうに、皆様、すごく良い笑顔で見とれた。

岡森さんが最後にご挨拶で仰ってらしたが、横内さん、岡森さん、六角さんが「山椒魚がきた」で芝居をはじめて40周年だそうです。すごいねぇ。




[あらすじ]
多様化の進む社会で昔のようには行かず、くさる水戸黄門一行(ご老公は腰を痛めて動けないので、役者の宇さ喜が扮している)の前に、二本松で土建屋を営む大寅組の番頭、佐野が現れた。
親方の大寅かぶとが水戸黄門の大ファンなのでディナーショーをやってほしいと言う。
実は、佐野は宇さ喜の元役者仲間で革命家くずれ。ご老公が偽物なのも承知の上で、親方が喜ぶのならと呼びにきた。

金に引かれてとりあえず仲介業者として向かった一行だったが、最下層の身分ながら這い上がり、なお差別と闘いながら神龍川の治水工事を進める大寅かぶとの水戸黄門の物語への純粋な想いを知り、ディナーショーではなく、この地の水戸黄門ホームタウン構想に協力することにした。

アカデミーを作り、次の世代の水戸黄門一行を養成するという話に、大寅組の全員がイキイキとする。
かぶとの娘:都だけは、そんな事より工事をと憤るが、助さんに「愛がわからないお前には無理だ。」と言われると素直に助さんに教えを乞いに現れ、助さんを慌てさせる。

そんな中、他所からきた伊勢屋が代官も抱き込み、公共事業となった神龍川の治水工事を横取りにかかる。
表向きは入れ札だが、身分のない大寅かぶとには入れ札に参加する資格すらない。

理詰めでは勝てない大寅組は、助さんのアドバイスにより、結局、悪人として輝くことで水戸黄門に裁いてもらう道を選ぶ。元々善人のかぶとは、組員達まで巻き込まないように組を解散すると言うのだが、組員達は納得せず、ついていく!と口々に叫ぶ。
結局、元革命家の佐野が参謀となり、都を除いた全員で立ち向かう。

自分達で作った仮堤防を壊し、伊勢屋と秘書を拉致して、かつての人柱同様に木にくくりつけ、川に沈める、と脅す。

そこへ、非道を正すべく、水戸黄門一行が現れる。
助さん、格さん、宇さ喜のご老公、お銀は都、弥七は、先に助さん格さんが手を回しておいた代官から借りた家臣:數田。
「助さん、格さん、少し懲らしめてやりなさい。」
の言葉を、大寅組の人々は感涙してしばし噛み締める。
そしてかぶとの「やってしまえ!」の言葉に大乱闘が始まる。

もちろん、水戸黄門一行に敵うはずもなく、次々と倒されていくが、皆、格さんや弥七と戦えたことに大喜び。

やがて、かぶとと格さんの一騎討ちが始まる。倒れるかぶとに「貴様の力はそんなものか!」と格さんが煽り、助さんも「輝け、とっつぁん!」
かぶとは何度も立ち上がり、立ち向かうが、ついに力尽きる。
そこでようやく「格さん、もういいでしょう。」
「静まれ、静まれ、ここにおわすお方をどなたと心得る~」

かぶと達は捕らえられるが、都は1人彼らを止めるために奔走したと言うことで許され、大寅組を任された。さらに大寅組の治水工事への参加もご老公からの命として代官は受け入れる。

ご老公、そして助さん、格さんの笑い声が響き渡る。



(蛇足)
ただね、多分、かぶとさん達はそれほどの罪にはならずに釈放されるとは思うけど、もし、処罰されてしまったら、結局、都さんにまた人柱の犠牲を出したと言う重荷を背負わせてしまうことになるなとちらっと思った・・・

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つぎはぎ(ネタバレあり)

Nana Produce
会場:TACCS1179

11月1日夜観劇

脚本:堀之内良太
演出:堀之内良太


キャスト:

英治(家のオーナー):古澤光徳
由里子(英治の妻):佐久間麻由
亮平(画家):上地慶
明:三上陽永
貴美恵:池田沙絵美
真由:関麻衣
ふみお(英治と由里子の息子):高橋玄太
ちひろ:林彬
えり:坂口佳澄
優太:山本学
麻美:伊倉かほり
大輔(ライターさんの息子):長島慎治




良かった。
泣かされた。

テーマとしては安易にあれこれ書けない気がしてしまうけれど、引き込まれた。

ひかりさんの「メグ The Monster」と同じく、過去と現在が交錯する構成。



現在と過去、出てはこないがそのまた過去と未来まで繋がる何か。
家族、と言うか、人の繋がりの在り方。

majorityではない在り方でも繋がりは繋がり。
でも、当事者達が様々な思いをするのも確かで、その辺りの妙なぎこちなさとかキツイ感じとか、優しいだけではない若干の居心地の悪さも感じるお芝居で、自分の中でうまく収まりがつかない所もあり、見終わってすぐには言葉が出てこない感じだった。
それも含めて良かった。


ぽこぽこの陽永さんと玄太さんがご出演なので観に行ったのだが、役者さん、皆様、良かった。
それぞれに印象的だった。
比較的安定しているように見える英治さんや由里子さん、それから亮平さんも、ふいっと崩れるシーンがあってドキッとした。



そして、陽永さんと玄太さんはもちろん良かった。
思いっきり直球な役で、観ていてこちらの気持ちをもて余す感じだった。



玄太さんは、最近のぽこぽこではあまり見ない繊細な若者。ぶっきらぼうなようでも"家族"からの電話の突飛な指令?にちゃんと応じるような真っ直ぐな人。
「世界と戦う準備はできてるか」の時に近い感じ。


そして、陽永さんはもうなぁ。卑怯・・・
親が犯罪者という事で里親のなり手も現れず、今も就職出来ない。いつも明るく騒がしくしているけれど、実は子供の頃からずっと誰かを待っているような寂しがり屋。今でも寂しい少年を心に抱えているような人。(一人でいて、ケラさんの「修道女たち」の虫に刺されたらあっという間に木になってしまいそうだ。)
表情観ていて、クラクラしてしまった・・・




以下、あらすじらしきもの。



母親が院長である児童養護施設で働くふみおは、同僚であるシングルマザーとの結婚にちと躊躇している。
そこに、母親の49日の法要から戻ってきた同僚の大輔が、ライターだった母親のノートを差し出す。



閉業した児童養護施設の院長の息子:英治(養子、実際は院長の友人の息子)が、かつて養護施設にいた数名を呼び集め、一緒に暮らし始めた。英治の妊娠4ヶ月目の妻も一緒。

彼が選んで声をかけたと言うこの養護施設で育った若者達は、皆、前向きに頑張っているがどこか不安定な部分を抱えている。

一人の男性は画家として成功しているが、その絵は黒く塗り潰された独特なもの。
里親の期待に応えられず、今、同じ施設で育った恋人との結婚に踏み切れない男性。
常にお菓子を食べていなければ落ち着かない女性。
一見明るく元気だが、実は誰よりも寂しがり屋な男性、等々。

画家の知人であるフリーのライターがインタビューに来る。ライター自身もシングルマザーで彼らに独特の感情を抱いているように見える。

共同生活を始めたきっかけは?の質問に、英治は「余命半年と言われたから。」

それを聞いたライターは、妙に突っ込んだ質問をぶつけてくる。



身重の妻のために治らなくても治療を受けて少しでも長く生きるべきなのではないのか?
父親に会ったこともない子供にしていいのか?
自分の思い出作りのために仲間達を利用しているのではないのか?
残される彼らの気持ちを考えないのか?



妻である由里子にも、それで良いのか?入院させるべきでは? と畳み掛けるが、由里子は「彼が決めたことだから。」と微笑む。



途中から、明以外の仲間達は英治の状態を知って、それでも一緒にいる。英治はもちろん明にも話そうとしているのだが、人一倍傷つきやすい明の気持ちを考えてなかなか話せず、やっと話し始めた時に倒れてしまう。
幸い、すぐに意識は戻って帰ってくるが、明は、死を受け入れているような英治を許さない。
そんな明に、いつも静かに微笑んでいた英治が、初めて顔を歪めながら告白する。



プロポーズの時に、由里子を、そして家族を幸せにすると誓った。なのに自分には果たせない。でも、皆がいてくれたらきっと。

自分の代わりに妻と子供と一緒に暮らして欲しいと願った人々が彼ら。



彼らと一緒に由里子は児童養護施設を再開させ、生まれた子供:ふみおは、家族みたいなものがたくさんいると認識している。

ライターの法要で大輔から話を聞いたらしい家族のような人々から電話やらなにやらきた。
ふみおは結婚を決意する。

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天守物語(ネタバレあり)

花組芝居

10月3日~10月8日 複数回観劇 笑

劇場:あうるすぽっと


原作:泉鏡花
構成・演出:加納幸和

●キャスト
天守夫人富姫: (泉組)小林大介/ (鏡組)加納幸和
姫川図書之助: (泉組)丸川敬之 / (鏡組)押田健史
岩代国猪苗代亀姫 : 二瓶拓也
十文字ケ原朱の盤坊: 原川浩明
茅野ケ原の舌長姥: 北沢洋
侍女 桔梗: 松原綾央
侍女 萩 : 秋葉陽司
侍女 女郎花 : 磯村智彦
侍女 撫子: 山下禎啓
奥女中 薄 : 谷山知宏
女の童 鬼灯 : 永澤洋
女の童 蜻蛉 : 与作 改メ 武市佳久
播磨守家臣 小田原修理: 山下禎啓
播磨守家臣 山隅九平 : 秋葉陽司
白鷹/工人近江之丞桃六: 桂宮治(ゲスト出演)


【新座員顔見世抄】
天守夫人富姫: 永澤洋(新人)
姫川図書之助:与作 改メ 武市佳久(新人)



ストーリーは鏡花さんの「天守物語」そのまま。
人間達が、魔が住むと怖れる姫路城天守の主:富姫は、猪苗代から遊びにきた妹分の亀姫に、姫路の殿様:播磨守の白鷹を捕ってお土産に与える。

その後、白鷹を失った咎により切腹の代わりに天守見届けを命ぜられた鷹匠:姫川図書之助がやってくる。
姿も心根も清く涼しい図書之助に魅せられた富姫は、彼に残るように願うが、人の世に未練がある図書之助に、見届けの証拠となる兜を渡して帰す。
しかし、その兜のせいで逆賊の汚名を着せられた図書之助が討っ手に追われて天守に逃げ込んでくる。
天守の獅子の力で討っ手を翻弄するが、獅子の眼を傷つけられ、天守の者達は目が見えなくなってしまう。
亀姫が持参した播磨守の兄弟、猪苗代の殿様の首を投げつけて一旦は討っ手を追い払うが、富姫と図書之助は死を覚悟する。
そこへ、獅子の創り手、桃六が現れ、獅子の眼を彫り直し、皆の眼も見えるようになって大団円。



花組芝居の「天守物語」、初演をビデオ(ビデオである(^_^;))で観て大好きになってしまい、再演では、初めてそれ目的で観劇遠征なんてものをしてしまった演目である。


今回は、鏡組の加納さん富姫はもちろんだが、泉組は大介さんが富姫とのことで、大介さんの女形のファンである私としては、丸川さん図書様とのやりとりも含めてとても楽しみだった。



結果。
まず、花組芝居の皆様の台詞はとても綺麗で鏡花さんの台詞が言葉としてきちんと伝わってくる。これが好き。




さて、泉組、とても良かった!
初日こそ、いろいろなところ(キャストの皆様もシーンも)が落ち着いて見えず、正直、大丈夫か?と思ったが、その辺は1回で落ち着き 笑、惹かれながらも照れ隠し半分で威のある姫君と、惹かれながらもついビクついてしまう図書様のやり取りもとても微笑ましくて好きだったし、クライマックスでは泣かされてしまった。



大介さんの富姫、予想以上にお綺麗で可愛かった。物腰も柔らかく、力強いようなシーンでも基本的に女性らしくて素敵だった。
目が見えなくなり図書様を探すシーンでブンブン腕を振り回し図書様をなぎ倒してしまったり、自刃すると言う図書様を止めようとして小太刀を奪いながら図書様を引き摺り回してしまったりしても(^_^;) 可愛かった。笑いながら泣かされた。
谷山さん薄さんとのやりとりも遊び仲間+α位な雰囲気で楽しかったし、二瓶さん亀姫とのやり取りもホントにお仲が良さそうで可愛かった。
お天守のアヤカシの主としてはまだお若いな、と言う感じがしないでもなかったけれど、丸川さんの他の怪異には勇ましいくせに富姫にはどうにもビビりな図書様 笑 と並ぶと、つい微笑んでしまう感じに素敵だった。



その丸川さん図書様。
私にとってかつらさんの図書様がベストでこれは揺るぎようがないのだけれど(もう次元が違う所にある 笑) 、 今回は最初から、丸川さんの図書様、と切り換えて見ることが出来たので素直に素敵だと思った。
真っ直ぐで爽やか、すっきりとした立ち姿、立ち居振舞いも綺麗でカッコ良かった。富姫を初めてまともに認めてつい見つめてしまう様や、富姫の力を知ってからは、惹かれながらもついついビクついてしまう姿も正直で可愛かった 笑


そう、泉組のこのお二人、なんとも可愛かったのである。
大介さんがアップしてた「さあ、おいで」の見得は、あれは乙女の夢だろうねぇ 笑




そして鏡組。
こちらはもう、加納さん富姫が、真面目にアヤカシではあるまいかというレベルでますますお若くお綺麗で、そして計り知られぬ威のある姫君、なので、それだけで花組芝居の天守物語だ!と言う気になった 笑

薄さん、亀姫、お腰元衆とのやり取りも泉組とはちょっとずつ違っていて、大介さんも良かったけれど、加納さん富姫はさすがぴったりハマるなぁ、と感心してしまった 笑

押田さん図書様は、初日は照れてらしたのか何か動きがコチャコチゃしているような印象を受けてしまったのだが、楽日には落ち着いて見目麗しい図書様で加納さん富姫ともなかなかしっくりして見えた。
ちなみに、こちらはクライマックスはシリアスなまま。大人なクライマックス。



そして、桂宮治さんの桃六さんが出てくる訳だが、個人的には、その・・・すみません、しばらく違和感を感じてしまっていた。
何と言うのかな、桃六さんには、飄々と浮世離れしていながらそこはかとなく色気もある雰囲気が欲しい・・・と言う話を友人達としていて、ああ、つまりは溝口さんの桃六さんを期待してしまっていたのだと気づいた(^_^;)
それからすると、結構、豪気な感じのする桃六さんだった。



お腰元衆達は曲者揃いで素敵だった 笑

ぱっと目を引くのは山下さん撫子。しとやかでお綺麗。そのくせ薄さんには厳しい。口が悪い(^_^;)
秋葉さん萩、なかなかお綺麗なくせしてずっと何を食べてるんだ? 笑
綾央さん桔梗は真面目そうなのに富姫様にも結構ぞんざいで、磯村さん女郎花は薄さんにはきついけど富姫様にはぞっこん? 笑 「よし!」と言うのが、シャンシャン回収(わかる人にしかわからないだろうけど(^_^;))のシャンさんみたいで可愛かった 笑


今回の谷山さん薄さんは、軽やかで楽しかった 笑
動きも表情もくるくると変わって、しっかりしているようでそそっかしいようでもあり、ちと中間管理職的?
周りの腰元達があまり敬意を払ってない感じで、仕切るのがちと大変そうだった。まあ、結局、仲は良さそうなんだけど。
富姫様ともしっかり信頼関係が結ばれていて、あちこちのやり取りが楽しかった。

ただ、私にとっては、薄さんも八代さん薄さんがベストでこちらも別次元 。
初日は図書様への心構えが先にきてしまって、薄さんへの心構えが不十分だったようで、谷山さんの薄さん、と切り換えるまで、ちと時間がかかってしまい、しばし悶々としてしまった(^_^;)

そういう意味では、二瓶さん亀姫もそう。
登場はほぼアイドル状態、周りの人々全てがオタ芸で出迎える 笑
とても愛くるしかったのだが、大好きな大井さん亀姫から切り離して、二瓶さんの亀姫、として見るまでにちと時間を要してしまったぃ・・・

やれやれ、だぜ、自分(-_-;)

ちなみに、アイドル亀姫のエアマイクでの台詞。
「姫路のみんな~(ひめじぃ!だったかも)、盛り上がってるかーぃ?」
「最後までついてこれんのかぁ~?」
「DJ舌長姥!」
だったと思うけど定かではありません 笑




その舌長姥は洋さん。
寄る歳の恐ろしさを逆手に取って、周りをお茶目に翻弄しているようなチャーミングな姥殿だった 笑
鬘がちょっと歌舞伎のお獅子のようで毛振りやって欲しくなった 笑
(後ろはそんなに長くないので出来ません)


"舌"を違う組の図書様がやっていたのだが、大楽(鏡組)の時は丸川さんが朱の盤坊と一緒になって思いっきり舌を引っ張ってから離し、姥殿をいじめてた 笑



花組芝居の朱の盤坊は、そりゃ、水下さんなのだが、今回は原川さん。
女の童の悪戯も鷹揚に受けて、温かみのある素敵なお先達だった。




女の童は、新人の永澤さんと武市さん。
波津さんの漫画に出てくる唐子のようで、軽やかに飛んだり跳ねたり踊ったり、お腰元衆にちょっかい出してノックアウトされたり、まあ、元気で可愛い、可愛い 笑
後半では、磯村さん、綾央さんと一緒に武士姿で出てくるが、こちらはなかなか凛々しかった。
でも途中の、なんだろ、あれ? 紙相撲?みたいな動き、可笑しかった。



このシーンでは、秋葉さん山隅九平は大仰で偉そうなんだけどどうも頼りない 笑、山下さんの小田原修理は頭脳明晰、お姿も立派で色っぽかった。以前やってらした洋さんもだが、女形もお手のものなので、過去のエピソードでの貴婦人がもうそのものでズルいよねぇ、と思う 笑



前半の終わり、亀姫が帰るちょっと前に永澤さんと武市さんの入座披露口上があったのだが、この導入がまたズルかった! 笑



初日は泉組、このシーンでいきなり聞き覚えのある電子音的な音楽が聞こえてきたと思ったら、唐突にお雪様登場!笑
しっかり衣装も拵え、夜叉の面ではなくて、お美しいお雪様。
すごいハイテンションで舞台を一回りして・・・捌けてしまった(・・;)


と、拵えはお雪様だが座長な加納さんが戻ってきて 笑、口上。
新人お二人の緊張感たっぷりのご挨拶も初々しくて楽しかった。



さて、これ、鏡組の時はどうするんだ?と思っていたら、今度は突然、そのものの格好で大根とネギを持った萩原晃さん(大介さん)登場! 笑
しかも、下には秋葉さん学円さんと二瓶さんお百合さんがいる!
ズルいよねぇ 笑
と言うか、劇団の強みだな。



これが終わって本筋に戻るかと思ったら、すぐに白鷹を獲る場面になって、出てきた白鷹が桂宮治さん。
朱の盤坊が仕切って、しばしのゲストコーナー。
謎かけに答えるのを毎回やって下さって面白かった。

面白かったのだが、ついさっき口上のやり取りがあったばかりで、また本筋と離れたシーンと言うのはちょっと・・・(^_^;)

いや、どこに入れるかと言ったらここだとは思うのだが、今回、他のシーンが以前と比べるとかなりスピーディーで相対的にさらりとしているので、この辺りの比重に、その、こちらの集中力が試される感じ?が少しした(^_^;)



それから、今回は[新座員顔見世抄]として、永澤さんが富姫、武市さんが図書様で、出会いから図書様が討っ手に追われてお天守に逃げ込んでくるところまでやったのだが、これも良かった!


永澤さんは、たんとお声が良くて、台詞も瑞々しく聞き惚れた。
武市さん図書様は真っ直ぐで凛々しく、お二人とも初々しくでもしっかりと演じてらして素敵だった。

ただ、お二人ともお時間を気にしてか、かなりの早口で進めてらしたように思えて(それでも台詞はしっかり綺麗でした)、もう少しゆったりと演じて下さっても良かったのでは?とちらっと思った。

唯一まともに絡む谷山さん薄さんが、若い奥様を温かく見守る乳母のような雰囲気にも見えて素敵だった 。

獅子の幌に逃げ込んだ富姫と図書様を、いつもよりもわらわらと出てきた御家来衆が引き摺り出して、口上へ。
この回は座長だけでなく、座員の皆様も一言ずつあったのだが、
「やっと年下の後輩が入った!」
「掃除当番から抜けられた!」
「もっと可愛いと言われたい!」
とか、ま、新人さんへのエールと言えばエールだけれども・・・?(^_^;)



皆様、仲良しさんですねぇ 笑



その後は、桂宮治さんの落語会。
「親子酒」流石でございました。



それにしても、やっぱり、図書様の災難、すべて富姫のせいじゃん 笑



ただ、追っ手の方々を見てると何の躊躇もないので、図書様、城内で結構やっかまれてたのかも、なんてことも思う。
姿も美しく、あれだけ殿に忠義を尽くしてたら殿の覚えもめでたかっただろうし、やはり怖いのは人間、かなぁ。

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ドキュメンタリー(ネタバレあり)

劇団チョコレートケーキ 企画公演

9月29日昼観劇

下北沢・小劇場 楽園

脚本:古川 健
演出:日澤 雄介

キャスト
高村 吾一(フリージャーナリスト): 西尾 友樹
杉崎 章(グリーン製薬社員):浅井 伸治
重岡 郁夫(小児科医/元グリーン製薬研究員): 岡本 篤


あらすじ:
1980年代、AIDSを調査していたフリージャーナリスト高村の元に、会社の内部告発をしたいと言うグリーン製薬社員 杉崎がくる。

グリーン製薬で販売を促進している血友病患者への非加熱血液製剤が原因で、血友病患者にAIDS感染が発生している。
加熱製剤を使えば感染は防げる。すでに米国では加熱製剤が認可されているのに日本では認可されていない。これはグリーン製薬の力が政府に及んでいるからである。

グリーン製薬の力の裏に何かあると感じた高村は、杉崎に古い研究員:重岡を紹介してもらう。


重岡が語ってくれたのは、満州での731部隊、満州で人体実験を繰り返していた部隊の話。グリーン製薬の幹部の多くは731部隊関係者であった。

731部隊の活動は軍の細菌兵器開発のためではあったが、医学研究者にとって、直接的な研究が出来る一種のパラダイスでもあった。


結局、杉崎が内部告発を取り止め(何があったのかは不明)、振り出しに戻ったが、高村は諦めてはいない。
重岡は、いつでも声をかけてくれ、と言ってくれている。




良かった。
途中から、なんだか身をすくめて観ていた。
あの狭さで観ると、つくづくチョコレートケーキの役者さん達の凄さを感じた。


リアルな上に、何処か不安定。何かが傾いで見える。


皆様が上手いので、高村さんも杉崎さんも、実はその裏にまだ何かあるでは?と思ってしまったりもしたけど・・・「遺産」で何か出て来るのか?


そういう意味では、淡々と恐ろしいことを語る重岡先生が、一番裏がないように見えた。
自分が壊れていることを自覚していて、感じ方が間違っているのもわかっているけれど、感じてしまうことは己にも他人にも隠さない。
岡本さんのあの口調、表情、見とれると言うとちょっと違うが、目が離せなかった。
ホント、岡本さんのことを最初に観たお芝居(客演されてた)の印象でしばらく誤認識してた。我ながら勿体ない・・・


扱っている事件のことはあまりわかっていなかった。
血友病患者が薬のせいでAIDSに感染したという話は知っているがその程度だ。
731部隊のことも聞いたことはあるが・・・なレベル。

チョコレートケーキのお芝居を観ると、毎回、自分の無知、関心の無さを思い知らされる・・・


危ない薬の在庫処理のために、危険性を公にさせない会社と政府の癒着、で進むのかと思ったら、その背後に、731部隊から続く兵器(利益)を求める組織と研究者のエゴ?のマッチング。

と言う認識で私は観たけど、これは違うかも。


若干、研究者のエゴを理解してしまいそうになる(良いと思ってる訳ではない)自分がいたりするので、余計に重岡先生に引き寄せられた気がする。


杉崎さんは、甥が血友病で、危ないとわかっている薬を使わせたくなくて苦労していて内部告発に思い至った。
高村さんは、友人がAIDSに感染してそこから調査を始めた。


身近に起こって初めて気付く。

と言うことは、私みたいな無関心な人間が多い、と言うことか。


確か、劇中の台詞で人を黙らせるのは「脅迫と報酬です。」と言うようなのがあったと思うが、最後の杉崎さんはまさにそれだろうなと思う。

高村さんも重岡先生も家族はいないが、杉崎さんには奥様もまだ小さいお子様もいる。
相手にとっては狙い目だろう。


「遺産」にどう繋がっていくのか、興味深い。
楽しみ、と書くのが躊躇われるお芝居なもので・・・
(DM先行予約で予約済み)

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暴発寸前のジャスティス(ネタバレあり)

STOREHOSE Collction No.13『日韓演劇週間Vol.6 -水底に蠢く声-』

ぽこぽこクラブ

劇場:上野ストアハウス

9月12日夜、15日昼、16日昼観劇

原案:杉浦 一輝
舞台脚本:渡辺 芳博
演出:ミカミヨウエイ

キャスト:
レッド:高橋 玄太
ブラック&ピンク:渡辺 芳博
イエロー:坂本 健
グリーン:杉浦 一輝
ブルー:三上 陽永


すごく良かった!
ちょっと唖然とした。
「世界と戦う準備はできてるか」を観た時の気分に近いかも。


ふざけているようで、根底はとてもシリアスでリアル。
ふんわり優しく、随所で笑わせてくれるが、絶妙な曖昧さで現実ともシンクロしていて、なかなかにシニカル。

ずっと続くと思っていた日常が、突然、非日常に変わる。

今年の日本はまさにこの状態。あちこちで起こる災害。突如、当たり前だったことがひっくり返る。

設定は奇妙な格好のヒーローだが、警察でも消防士でも自衛官でも当てはまる。
部分的には会社員にも当てはまる。

観る側の立場によって、色々なことを考えてしまうお芝居でもあると思った。


冒頭はスター・ウォーズにケンカ売ってるのか?と言うような字幕でナレーション笑。

前半は、ご当地ヒーローの普段の生活もかくや?と思わせる(違うか 笑) 、ダメ公務員のダラダラ呑気な毎日、文句を言いつつ楽しそう。

役者の皆様がまた、それぞれにハマってて素敵だった。若干、整い過ぎなくらい 笑

あくまで穏やかだけどしっかりメンバーを操るリーダー、レッド:玄太さん、悪ぶってても内弁慶な愛妻家ブラック:渡辺さん、女子大好きなお調子者イエロー:坂本さん、頑張ってるけど小僧扱いされるグリーン:一輝さん、新参者で真面目なブルー:陽永さん。

皆様、魅力的だった。


わちゃわちゃとじゃれてるようなやり取りがとても楽しかった。

ああいう"小僧"な役柄の一輝さん、久々に観た気がする 笑
渡辺さんは、ピンクで出てくる時ギリギリまで顔を見せないのだが、そこまでなかなかの美女に思えるから恐ろしい 笑
渡辺さんと対等な坂本さん、と言うのもなかなか新鮮 。
苦労人レッド玄太さんは、そうは言いつつちゃっかり彼女をゲットしてて、幸せっぷりも似合ってた。


この辺りが和やかで微笑ましいからこそ、なおさら後半が怖くて、切ない。


最初に戦闘員が現れた時の姿。ゾッとした。
なす術もないブラック達も、あわやと言う時に飛び込んできて戦闘員を倒すブルーにも全く余裕はなくて、あんな狭い舞台なのにやたらにリアル。


で、どうなるんだ?と固唾を呑んで観ていたら、いきなり収穫祭。賑やかな明るい踊り。
また和やかな日々が続く。


硬い表情だったブルーがニコニコと楽しそうに仕事をするようになって、メンバーも和気あいあいとして、いいなぁと思わせておいて、

突然、武器が届く、戦闘員発見の通報が続く・・・


この緩急の付け方、上手いよなぁと思う。

リピートで話がわかっていると、前半のいろいろな場面で涙が出そうになって困った。


武器が大量に届いたとき、ブラックが「地方は広いから置いとけってことか?」みたいなことを言うのだが、これを聞いた時につい放射性廃棄物のことが浮かんでしまった・・・


陽永さんの表情にはいつも引っ張られてしまうのだが、最後のシーンでレッドの問いを聞いた時の顔。
目付きが鋭すぎて怖かった。
レッドと同じ推測をしていたからとも思えるし、実はブルーはもともとそのフォローのために送り込まれていたのでは?とも思えるので、それに対する反応か?、なんてことも思いながら観てた。

(近々の攻撃の予想がついて地元3軍だけでは対処しきれないのが見えていたので、上が各地に一人ずつ送り込んでおいた、なんてこともありそうだよね。公に派遣するには予算も足りないだろうし、パニックになりそうだし)

ブルー君、経験、能力はあるし、真面目で人当たりも良くて、周囲に馴染むのも自然で・・・って潜入捜査への適応能力、高そうだものなぁ。
蜂に刺されないのもその程度のことは出来て当然だからでしょ。賢いから言わないけど(^_^;)


そうそう、
ブラックがブルーに「どうして(蜂退治に)行かせたと思う?」と言った途端に、
レッド「いじめでしょ。」
グリーン(イエローだっけ?)「いじめだな。」
ブルー「いじめですか!」

息ぴったり 笑

モモコちゃんに想いを寄せていたグリーンをからかうブラックとイエローのやり取りもそう。

こういうの、好きだなぁ。


あ、もう一つ、ピンクからのお花見強制参加の指令を伝えた後、合コンが、とか、妊婦の妻が、とか断りをいれようとする皆に、ブラックが

「オレは伝えたぞ。あとは自分の命と相談して決めてくれ。」
直立不動で沈黙するメンバー・・・

ピンちゃん、無敵だな 笑



そういうのを見せておいて、ラスト、レッドは車椅子。
イエローは一人で瓦礫処理みたいなことをしていたが、ブラックの姿はない(何の説明もない)。
グリーンは都市で1軍ヒーローとして戦っている。
でも、1軍ヒーローはフルフェイスマスク、おそらく戦闘スーツに特徴もない。そこにいるのは"1軍ヒーロー"であって、個人は存在しない、気がする。
あのチャーミングだったグリーンがどんな表情で戦っているのかわからない。

ブルーはまだいるけれど、この人はまたどこか大変になりそうな地区に転属されるのでは?なんてことも思ってしまう。



もっとえげつない裏設定を想像してしまったりもして・・・


以下、私の目から観たストーリー。
所詮、主観が入ってますし、記憶違いもあると思いますが悪しからず(^_^;)


ストーリー:
ヒーロー達が、街を人々を、侵略者から守っている世界。でも、都会から遠く離れた田舎では敵の戦闘員が現れることもなく、ごく平和な毎日。
駐在しているのは、戦闘員との戦い方も知らない3軍ヒーロー達。仕事は害虫駆除、お年寄りの介護ヘルプ、水周りのトラブル対応 etc. 時にはイベントでのパフォーマンス。町の何でも屋さん。仕事の合間にはテレビを見ながら町の人々の噂話。

そんな中、都市近郊で2軍ヒーローとして戦っていたブルーが転属してきた。
ここでも戦いに備えるべきというブルーに、恐妻家で愛妻家、内弁慶なブラックと、お調子者で合コン大好き、蜂との戦いにも負けそうなイエローは反発して出ていくが、お年寄りに大人気、病気の母を抱えて今はここを離れられないが一軍ヒーローに憧れるグリーンは好意的。

硬い表情を崩さないブルーだったが、穏やかで面倒見の良いレッドと住民との家族のようなやり取りや、地元のお菓子の美味しさに少し表情が和らぐ。

そして、意外なほどすんなりとブルーは町に溶け込む。住民の名前もすぐに覚え、どんな仕事もそつなくこなして、ブラックを悔しがらせる。レッドはブルーの意見を取り入れて武器を発注したが、なかなか届かない。


そんなある日、山道で落雷による倒木処理をしていたブラック、イエロー、グリーンは少し離れた所に戦闘員を見つける。
ブルーの指示に従ってビクビクしながら追跡するが見失い・・・と、突如、間近に戦闘員が現れた。動転してなす術もない彼ら。間一髪、ブルーが飛び込んできて戦闘員を殺す。

何とか駐在所まで死骸を運び込み、支部の引き取りを待つ間、初めて見る戦闘員のあまりに人間的な外見に呆然としている皆の前で、ブルーが自分のことを語り出す。


敵との戦い、最初の一発が撃てない。が、それが撃てたら後は次から次。やがて無意識に敵を殺せるようになる。しかし、ある日、助けを求める声を無視して敵を撃ち続ける自分がいた。何のために敵を殺しているのかわからなくなった。

でも、今日は皆さんを守りたいと思った。だから戦えた。

この先、戦いに身を置くことになっても、何を守りたいのかを忘れないで欲しい。

守りたいもの。
ブラックは妻ピンク(元ヒーロー)、グリーンはお母さん、イエローは・・・たくさんい過ぎて決められない。皆の笑顔にしよう 笑 そしてレッドは恋人:三日月ベーカリーのモモコちゃんとの結婚を宣言!
(モモコちゃんが好きだったグリーンには大打撃(^_^;))


幸い、その後は何事もなく収穫祭がきた。
イエローの指揮のもと、5人は楽しく祭りを盛り上げる。
そして、戦闘員発見のショックも忘れかけた頃、突然、大量の武器が届く。ここだけでなく、支部一帯に。


訝しむ彼らの元に、戦闘員発見の通報が相次ぐ。


そして、大きな爆発音。
ピンクが花見の場所取りをしているはずの山の方から煙が上がり、ブルーの制止も聞かず、ブラックは武器も持たずに飛び出していく。

武器を選ぶブルーにレッドが問う。「もう戻れないんですよね? 」「でも、いつか取り戻すことが出来ますか。」



しばらくの後。
車椅子のレッドが事務仕事をしているところに、お年寄りの所に避難の説得に行っていたブルーが帰って来て、頂き物の芋羊羹を見せる。

お茶しながらテレビを見ていて、1軍ヒーローになったグリーンをブルーが見つける。フルフェイスのマスクでも動きに特徴があるからわかるらしい。

イエローはどこかで瓦礫処理をしている。

・・・ブラックは?


ふと、レッドが目を合わさずに問う。
「あの武器・・・ここが戦場になるとわかっていたのでしょうか。」

ブルーは答えない。


やがて電話が鳴り、レッドは常に変わらぬ穏やかな声で応対を始める。

おしまい。



(以下は個人的な備忘録)

ブルーの告白聞いてるとき、ララァに「守るべきものがないのにどうしてそんなに戦える?それは不自然なのよ。」と言われてたアムロ君を思い出してしまった。

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あいつをクビにするか(ネタバレあり)

2016年10月26日夜(初日)、10月29日昼、10月30日昼夜(楽日)観劇  花まる学習会王子小劇場

ぽこぽこクラブ vol.3

作:ぽこぽこクラブ(杉浦一輝、渡辺芳博、三上陽永)
演出:三上陽永

キャスト:
阿久沢権蔵(父):渡辺芳博
阿久沢房子(母):都倉有加
阿久沢真理雄(息子):坂本健

阿久沢泰吉(父、権蔵の弟):伊藤公一
阿久沢深雪(母):松田佳央理
阿久沢カズヤ(長男):三上陽永
阿久沢セイジ(次男):杉浦一輝
阿久沢メイ(長女、末っ子):磯部莉菜子

香坂沙織(カズヤの同僚で婚約者、メイの担任):松田佳央理
内海マキ(深雪の妹):小野寺志織

井尻モモコ(メイの友達、三田先生のクラス):くらら
桐島大五郎(モモコのクラスメート):梅津瑞樹

三田義弘(カズヤ、志織の同僚):高橋玄太



大千穐楽を観た後に書いている。

良かった。引き込まれて、時に笑わされて、泣かされた。

初日は、楽しめたけれど、正直、ありゃりゃ?と思ったところも結構あった。
カズヤさんが裏で操っていたのだろうとは思ったけれど、メイちゃんの方がお母さんを完全に拒絶しているような印象が強くて、「愛してほしかった。」と言うのはキャラが一貫していないように見えた。他にもちとしっくりしていないように思えたキャラがいくつかあったし、展開も今一つすんなり飲み込めなかった。

でも、この辺りは初日でまだいろいろ落ち着いていないことや私の感性がついていっていないせいも大きいはずと思って次に観るのを待った。

案の定だった(笑)
三日後に観た2回目は、初日に気になったところが見事に改善されていて、素直に引き込まれた。

あらすじは・・・書けない(^^;
いや、書いてもそれは私に見えた話であって、多分、人によって異なるのではなかろうかと思う。
誰に寄って観るか、どのポイントが印象に残るか、その時の観る側の状態でもおそらく捉え方が変わったのではなかろうかと思うお芝居。
所詮、人は自分の見たいように見るしかないしね。(あらすじは最後に書いておきます。)

そして繰り返してみると、いろいろ気づいて繋がったり、勝手に想像を繋げたりして、自分の中でこのお芝居の世界が補完されていく。
必ずしもリピート前提という訳ではないと思うけれど、個人的には観るたびに引き込まれ方が強くなって、日曜日はあちこちで涙が出そうになって我ながら驚いた。
幾通りかの親子のシーン、メイちゃんと真理雄君のシーン・・・良かった。

こう書くとなんだか優しいお話みたいだな。
まあ、家族の再生という捉え方で言えば、優しいお話、でも良いのか。

でも、斜めな見方をするとかなり違う印象になる。大体、ラストでひっくり返されるし。

私にとってこのお芝居の全体的な印象は、マイルドな「クリミナルマインド」だからね。(クリミナルマインドでも親子の情愛などは出てくるし)

メイちゃんと真理雄君のシーンでも泣かされたけれど、だからと言って完全にメイちゃんを良きモノと思っていた訳でもない。
メイちゃんが生まれた時、上から赤ちゃんが降りてきて泰吉さんが抱き取るのだが、それを降ろしている一人が陽永さんで、赤ちゃんに向かって手を振っている。
カズヤさんがバケモノなのだとすれば、あれを降ろしているのもバケモノで、もう一人送り込んだようにも見えるなぁと思いながら観ていた。
「エデンの東」のキャシーみたいな存在もある訳だし。

カズヤさんは何なのだ?というのも想像し甲斐があり過ぎる。
メイちゃんとお母さんの関係性が面白くてさらにこんがらがらせようとしただけなのに行き過ぎて後悔しているのか(食事のシーンはそういうこと?と思ったり)、婚約も含めて全ては退屈しのぎなのか、あるいは単純に研究対象としてメイちゃんに興味があってお母さんにも症例を教えてあげただけなのか(これはないか)、途中からメイちゃんが勝手に暴走しているのか、どれをどう決めるかで何とでも考えられる(笑)

ラストの真理雄君と対峙している姿は表情も含めて単純にかっこよくて好きだけれど、あの表情が何を意味しているのかも決めかねる・・・

バケモノっぽさは、ボール遊びしている深雪さんとメイちゃんのところに現れた時にふわりと出るけれど、どうせならプラネタリウムの時にもあってほしかった。泰吉さんが明かりを点けられないでいる時に、ちゃらっと点けてとぼけているとかそんな感じで。

いずれにしても、泰吉さん、深雪さんの遺伝子の組み合わせは特異的なものを生み出す配列になっていそうだ。

と、話について書いていると収拾がつきそうもないのでこの辺でやめよう。

セットも照明込みで素敵だった。
プチプチを一面に張り、一部は衝立にして動かしたりして、部屋にも倉庫にも冷凍庫にも見えた。
後ろを歩く人物を透けて見せることもできるし、物理的、心理的なベールのようにもなるし、面白いなぁと思った。

役者さんもそれぞれはまっていて素敵だった。

メイちゃんの磯部さんは最年少だったと思うけれど、とても堂々とされていてくっきりとしていた。個人的には赤ちゃんメイちゃんが好き過ぎる。あのボール遊びしているシーン、動画配信してください(笑)

モモコさんのくららさん、こちらもとても自然に女子高生、可愛かった。

桐島君の梅津さんは・・・(笑) いや、良かったのです。軽い男子高校生に身体を張って取り組んでらして素敵でしたが、つい笑ってしまった。
一方で世間の無自覚な悪意も代弁してた(虚構の劇団だと陽永さんがよく振られてた立場・・・)

三田先生の玄太さんは、ある意味、今回一番切ない役。あの情けなさ、小狡い感じも合ってたのですごいとは思うけど、いやぁ・・・(^^;

阿久沢兄一家は、一家のシーンがすごく素敵だった。

渡辺さんの権蔵さんは抱えているものが重すぎて少し変にはなっているけれど、家族を愛し、弟一家も大切にするお父さん。

都倉さんの房子さんは、噂好きでおしゃべりなオバちゃん然としているけれど、大らかで芯の強い素敵な人。

坂本さんの真理雄ちゃんはそりゃもう純粋で真っすぐで素敵。ただ、真っすぐ過ぎて怖いとも言える。坂本さん、はまってました。

伊藤さんの泰吉さんは幸せな時の笑顔が本当に幸せそうに見えるだけに秘密を抱えてからの無表情が切なかった。

松田さんの深雪さんも、優しいお母さんがだんだん追い詰められてエキセントリックになっていく様が切ない。
メイちゃんに向かっている香坂先生がお母さんに切り替わるシーンが印象的。

小野寺さんのマキさんは、今回の中で一番健全な人。真っ当な反応に観ているとホッとした。とは言え、「暇」と言っていたけれど何をしている人なんだろ?という疑問は残った。
セイジさんへのお弁当の中身が知りたい(笑)

一輝さんのセイジさんも不器用で切ない人で良かったのだけれど、ニートボールって…お腹、真面目に気をつけてください(^^;

で、陽永さんのカズヤさん。優しい笑顔で良い人な感じとチラチラ覗く異質性。初日から、デスノートの代わりにメイちゃんを手に入れた月君か?などと思いながら観ていた。
最後に全てを持っていくラストの表情は卑怯。

さて、極力、主観を入れずにあらすじを書くと

高校生のメイは、自殺を図った同級生モモコを誘って、自分の高校の先生をクビに追い込むゲームを始めた。メイのことが大好きないとこの真理雄も一緒だ。
3人の先生をクビにした後の次のターゲットは、メイの兄カズヤと婚約したことがわかったメイの担任:香坂先生。
香坂先生に振られた同級生桐島も引き込んで、様々な悪戯を仕掛けて追い込んだが、先にクビにした三田先生が仕掛けておいた盗聴器で犯行がばれる。
メイに話すというカズヤを止めて、香坂先生は自ら彼らに対峙する。

一方、三田先生はメイのことを内緒にするのと引き換えにカズヤに金を要求する。

香坂先生に問い詰められて、桐島とモモコはメイに脅されてやったと答える。
メイに向き合う香坂先生の姿が、メイの母親のかつての姿とだぶる。「お前は化け物。お前には心がない。」
メイは興奮して三人にカッターで切り付ける。

阿久沢家の過去。

息子二人の阿久沢家、母親との折り合いが悪い深雪は娘を産むことに不安を感じていたが、夫:泰吉の熱望を受け入れ、3人目に娘メイを産む。
メイはお父さん子で深雪になつかない。深雪はメイとの関係に悩み、疲弊していく。
同じころに泰吉の兄:権蔵の家にも息子:真理雄が生まれ、メイと真理雄は大の仲良し。
小2の時、真理雄は特殊学級に移ったが、相変わらず二人は仲良し。
「何でもあげる!」という真理雄にメイは「小指が欲しい。」 
メイのランドセルから真理雄の小指を見つけた両親は驚愕する。返せという両親の前で、メイは小指を飲み込んでしまう。

その後、深雪は別居したらしい。カズヤが連絡役。
小4のメイは高校生のセイジを誘惑したりする。
メイが小6の時、メイを病院に連れていきたがっていた深雪が階段から落ちて死ぬ。階段上にはメイ。
首を絞めた跡がある、と狼狽える泰吉に呼び出された権蔵は、深雪を自分の店の冷凍庫に隠し、失踪したことにする。

3人にカッターで切り付けたメイは部屋に引きこもり、1か月。カズヤは香坂先生と同棲を始め、家を出ている。
セイジも家を出ることにしたが、その前に、小4のメイから誘われて以来、何度もメイと関係を持ったことを泰吉に告白する。
テレビでは、三田の死体のニュースが流れている。

お前は悪くない、全て俺が悪い、とセイジに言い聞かせた泰吉は、メイと共に死ぬことを覚悟し、権蔵に告げる。
自分もネズミが走り回る妄想に脅かされていた権蔵だが、泰吉をしかりつけているところにメイがやってくる。
「(心が)痛い。」「自分の罪を償いたい。」というメイに「お前は俺の娘だ。」と抱きしめる泰吉。3人は自首することにした。

深雪の直接の死因は階段から落ちたことではなく、首を絞められたせいらしい。小6の少女の手ではない、男性の手。誰の?

自宅に戻れたメイを、真理雄が手作り焼売をもって訪ねてくる。昔と変わらぬ笑顔で「ずっと好き。」という真理雄。
そこへカズヤがやってくる。「私が怖くない?」と問うメイに「怖いもんか!」と笑顔のカズヤ。
と、突然、背後から真理雄が駆け寄り、包丁でカズヤを刺す。「僕は騙されないぞ。化け物はお前だ!」
カズヤは駆け寄るメイを突き放し、真理雄に対峙する。

うん。伝わらない・・・(^^;

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